メリマン・ハリス

メリマン・コルバート・ハリスの生涯と影響

メリマン・コルバート・ハリス（1846年7月9日 - 1921年5月8日）は、アメリカのメソジスト監督教会の宣教師であり、特に明治期の日本において多大な影響を与えた重要な人物です。彼は自身を「アメリカ生まれの日本人」と称し、多くの日本人クリスチャンの信仰の指導者として知られています。

生い立ちと来日

ハリスはオハイオ州で生まれました。南北戦争中に北軍に従軍した彼は、戦争が終わった後、アレゲニー大学を卒業しました。その後、フローラ・ベストと結婚し、1873年には愛妻と共に日本へと渡ることになります。

彼が日本に到着したのは、明治6年（1873年）のことで、最初に函館に赴任しました。この地ではキリスト教を広める活動に従事し、同時にアメリカ合衆国領事を兼務しました。ハリスは函館美以教会を設立し、その地域での信仰の芽生えに貢献しました。彼の赴任初期には、地域での暴力事件があったものの、ハリスは地域社会に溶け込んでいきました。

信仰の指導者としての役割

ハリスは札幌農学校の生徒たちへの信仰指導も行っており、1877年にはウィリアム・スミス・クラークからの依頼で信仰的な指導を行いました。彼は同年9月2日に、札幌農学校の第1期生に対して洗礼を授け、その中には後の著名なクリスチャンである佐藤昌介や大島正健が含まれていました。また、翌年には内村鑑三や新渡戸稲造を含む第2期生にも洗礼を授け、その後の日本のキリスト教界に大きな影響を与えました。

ハリスは1882年に妻の病気治療のために日本を離れた後も、ハワイ方面の宣教師として新たなミッションを続けました。アメリカにおいて、彼は日本人コミュニティとの関わりを持ち、「ちいさき群」と呼ばれる信者たちの信仰を導く役割を果たしました。

日本への再訪と晩年

明治37年（1904年）には、日本及び朝鮮の宣教監督に任命され、再び日本に帰国します。彼の帰国後も日本に対する情熱は衰えず、長年にわたりキリスト教の普及に貢献しました。妻のフローラは文才もあり、讃美歌343番を作詞するなど、文化的な影響も残しました。フローラは1909年に先立って亡くなりましたが、その後もハリスはクリスチャンとしての信念を持ち続けました。

1919年にはエリザベス・ベストと再婚し、二人は青山学院のハリス館に住みました。2021年5月8日、ハリスは75歳で亡くなり、妻と共に青山墓地に埋葬されました。彼の生涯は、日本におけるキリスト教の発展において特に重要であり、多くの信者からは父のような存在として深く慕われたと言われています。

ハリスの逸話

ハリスの来日当初、友人から護身用の拳銃を渡されましたが、彼は「日本人のために命を捨てる覚悟だから不要」と言って拳銃を海に捨てたという逸話があります。また、「私はアメリカで生まれた日本人ですから。」という言葉は、彼の信念を象徴する言葉として広く知られています。ハリスの貢献は、単なる宗教的な活動にとどまらず、日本とアメリカの架け橋ともなる重要な役割を果たしました。

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