メルセデス・ベンツ・シタン

メルセデス・ベンツ・シタン：ルノー・カングーを基盤とした多様な商用車・乗用車

メルセデス・ベンツ・シタンは、メルセデス・ベンツブランドが販売する商用車および乗用車です。そのルーツはルノー・カングーにあり、ボディやメカニズムを多く共有するバッジエンジニアリング車として知られています。フランスのルノー子会社であるモブージュ・コンストラクション・オートモーティブ社にて製造されています。メルセデス・ベンツは、かつて販売していたバネオの後継車種としてシタンを市場に投入しました。

初代シタン (W415型)：2012年 - 2021年

メルセデス・ベンツとルノー・日産アライアンスの提携により誕生した初代シタン（W415型）は、2010年4月の発表を経て、同年10月27日に欧州市場で発売されました。カングーをベースにしながらも、メルセデス・ベンツ独自のフロントマスクを採用することで、ブランドアイデンティティを明確にしています。

ボディサイズは、カングー同様に3サイズ展開されました。全長は、コンパクトモデルが3937mm、ロングモデルが4321mm、エクストラロングモデルが4705mmです。モデルによって選択可能なボディサイズが異なっていました。

ラインナップは、用途に応じて多様なバリエーションが用意されていました。

カステンヴァーゲン (Kastenwagen): 貨物輸送に特化したモデル。2名乗車、後部ドアに窓ガラスがない点が特徴です。全長は3サイズから選択可能でした。廉価版であるワーカー(WORKER)は、装備を必要最小限に抑えています。
ミクストゥ (Mixto): 乗客と貨物を同時に運搬できるモデル。5名乗車、全長は4705mmのみの設定でした。
トゥーラー・ガヴァブリッヒ (Tourer Gewerblich): 商用用途を想定した乗用モデル。5名乗車、全長は4705mmのみの設定。廉価版であるクルー(CREW)も存在しました。
トゥーラー・プリヴァート (Tourer Privat): 民生用途向けの乗用モデル。4321mmと4705mmの2サイズが用意されていました。廉価版のエディション(EDITION)は、カラーバンパーやルーフレールを標準装備としていますが、一部の装備は省略されています。
* トゥーラー・タクシー (Tourer TAXI): タクシー用途に特化したモデル。5名乗車、全長は4705mmのみ。タクシーメーター、屋根灯、乗客用足元灯などの専用装備が標準で備えられています。車椅子乗降機器のオプションも用意されていました。

エンジンは1.5Lディーゼルエンジンと1.2Lガソリンエンジンが設定され、自動変速機はガソリンエンジンモデルのみに搭載されていました。

2代目シタン (W420型)：2021年 - 現在

2021年8月に発表された2代目シタン（W420型）は、ルノー・カングー、日産タウンスターと共にMCA工場で生産されています。先代モデルと同様にルノー・カングーと兄弟関係にあり、プラットフォームにはCMF-CDを採用することで、大幅な改良が施されました。

エンジンは、ルノー製の1.3Lガソリンエンジン（2種類）と1.5Lディーゼルエンジン（3種類）がラインナップされています。ボディサイズは、先代モデルにあったコンパクトとエクストラロングは廃止され、ロングボディのみの設定となりました。

商用モデルは「カステンヴァーゲン」、乗用モデルは「トゥーラー（ツアラー）」の名称が継承されています。さらに、乗用モデルの上級グレードとしてTクラスが追加されました。また、2023年2月にはEV仕様のEQTも発売されました。シタンは、その多様なバリエーションと信頼性の高いルノー・カングーをベースとした設計により、幅広い顧客層のニーズに応えるモデルとして進化を遂げています。

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