メルセデス・ベンツ・シターロ

シターロ：メルセデス・ベンツの大型路線バス

シターロ（英語: Citaro）は、ダイムラー・トラックグループが展開するエボバス社によって製造されている大型路線バスであり、メルセデス・ベンツブランド名で販売されています。その魅力は、ノンステップ構造を標準で採用していることに加え、幅広いモデル展開によって多様なニーズに応えられる点にあります。

1997年にシュトゥットガルトのUITPで披露されたシターロは、前モデルであるO405シリーズの後継として登場し、2019年12月までに55,000台以上が生産されました。このバスは、ドイツ・マンハイムやフランス・リニー＝アン＝バロワ、スペイン・サマーノでの製造が行われています。

モデルの多様性

シターロには、都市型モデルと郊外型・都市間モデルが存在し、さらにそれぞれのモデルにはさまざまなバリエーションがあります。以下は主なモデルについての紹介です。

都市型モデル

1. シターロ（O530）
- 全長: 12.135m
- 全高: 3.12m
- 車両重量: 19t
- 座席定員: 28 - 40人
- 扉数: 2扉または3扉

2. シターロK（O530K）
- 全長: 10.633m
- 車両重量: 19t
- 座席定員: 26人

3. シターロG（O530G）
- 全長: 18.125m
- 車両重量: 28t
- 座席定員: 40 - 46人
- 扉数: 3扉または4扉
- 連節構造

4. シターロL（O530L）
- 全長: 14.995m
- 座席定員: 42 - 46人
- 車両重量: 不明

郊外型モデル

• - シターロÜ（O530Ü）、シターロMÜ（O530MÜ）、シターロGÜ（O530GÜ）、シターロLÜ（O530LÜ） それぞれ全長や特徴に違いがあるモデルが揃っています。

エンジンと性能

シターロは、ユーロ3からユーロ6規制に対応した複数のエンジンが用意されています。いずれも直列6気筒エンジンで、最高出力は231HPから326HPの範囲があります。ATはZF ECOMATやフォイト製が選択でき、運転のしやすさと性能を両立しています。

燃料電池バスの革新

シターロシリーズの中でも特筆すべきは、2002年に欧州車初の燃料電池バスとして開発されたO530BZでしょう。これに続くハイブリッドモデルであるO530BZHも2011年から運行が開始され、特に都市パターンでの低公害の実現に寄与しています。

日本市場における展開

日本では、シターロGの連節バスが導入されています。2007年に神奈川中央交通が初めて導入し、その後も多くの事業者に展開が進みました。2024年時点で、神奈中が保有する連節バスは30台中24台がシターロという状況です。

その他の用途と後進技術

シターロは、トロリーバスや大型救急車としても改造利用されています。特にトロリーバスはコストを抑えつつ、環境に配慮した輸送手段として機能しています。また、2023年からは新たに燃料電池バスが量産され、これは環境負荷をさらに低減した次世代の都市交通を実現するための重要な一歩です。

まとめ

シターロは、その多様なモデルと先進的な技術によって、今後も公共交通システムの中で重要な役割を果たし続けることでしょう。安全性、環境への配慮、運転のしやすさにおいて、一貫した優れた性能を提供するシターロは、都市交通の進化に寄与しています。

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