メルセデス・ベンツ・CLK-LM

メルセデスベンツ・CLK-LM

メルセデスベンツ・CLK-LMは、1998年にメルセデス・ベンツとAMGによって開発されたグランドツーリングスポーツカーです。この車両はル・マン24時間レースやFIA GT選手権への出場を目的としており、FIAグループGT1の規定に基づいて設計されました。前年度のモデルであるCLK-GTRの進化版として位置づけられています。

エンジンと設計の進化

CLK-LMでは、GT選手権用のエンジンが変更されました。具体的には、グループCで使用されていたM119エンジンからターボを取り除いた5リットルのV型8気筒自然吸気エンジンへと移行されています。また、ラジエーターもフロントからサイドへと配置が変更され、これによりボンネット部分が低くなり薄型化され、スタイリッシュな外観を獲得しました。この外観の変化により、全体にわたって低く、スリムなデザインが強調されています。

さらに、CLK-GTRと同様に、GT1ホモロゲーションを取得するために、ロードバージョンも展開されましたが、市販はされることはありませんでした。実際にル・マンへの出場を公式に発表されたのは、予備予選が終わった5月のことであり、実際のデビュー戦はル・マン本番となりました。

レースでの活躍

ル・マンの予選では、トヨタを抑えてポールポジションを獲得しましたが、決勝では残念ながら2台ともリタイアという結果に終わりました。しかし、この後のFIA GT選手権では、特に第3戦ホッケンハイムでのデビュー戦で優勝を果たし、その後の全レースでも優勝を続けました。結果的に、AMGチームそしてドライバーたち（クラウス・ルートビッヒおよびリカルド・ゾンタ）は2年連続でチームタイトルとドライバーズタイトルを取得することになりました。

その後、CLK-LMはプライベーターへは供給されず、ワークスチームのみが手に入れることができる特別なマシンとして扱われました。これにより、特にメルセデス・ベンツのレーシングチームの強さが際立つ結果となりました。

終わりに

CLK-LMは、FIA規定のグランドツーリングスポーツカーとして、非常に重要な役割を果たしました。翌年には、CLK-LMが発展したフリー仕様のLMGTP（メルセデス・ベンツ・CLR）モデルへと進化を遂げることになります。また、1999年には全日本GT選手権にMTCIチームがCLK-LMを購入しエントリーを表明していましたが、インポーターとAMGの間でのトラブルからエントリーは実現しませんでした。

CLK-LMは、その革新的な設計や競技成績により、多くの自動車ファンやビンテージカー愛好者にとって記憶に残る存在となっています。

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