メルセデス・ベンツ・CLS

メルセデス・ベンツCLSクラス：4ドアクーペの進化と歴史

メルセデス・ベンツCLSクラスは、同社のEクラスをベースとした高級4ドアクーペです。その洗練されたデザインとスポーティな走り、そして上質なインテリアは、多くの自動車ファンを魅了してきました。本稿では、CLSクラスの各世代の特徴や歴史、そして日本市場における展開について詳細に解説します。

CLSクラスのコンセプト：4ドアクーペという革新

CLSクラスの最大の特徴は、セダンでありながらクーペのような流麗なシルエットを持つ点です。サッシュレスドア（窓枠のないドア）を採用することで、よりスポーティでスタイリッシュな印象を実現しています。この大胆なデザインは、当時大きな話題となり、多くのメーカーが追随する「4ドアクーペ」という新しいカテゴリーを確立しました。

初代 W219型 (2005年-2010年)：世界最速4ドア車の誕生

2004年に発表された初代CLSクラス（W219）は、Eクラスセダンのプラットフォームをベースにしながらも、全長と全幅を拡大。クーペのようなスポーティなデザインと、上質なインテリアが特徴でした。後部座席は2人乗り仕様で、よりドライバー重視の設計となっています。

このモデルをベースに、チューニングメーカーのBRABUSが世界最速の4ドア車「BRABUS CLS-V12S ROCKET」を開発。730PSという驚異的なパワーと、最高速度365.71km/hという記録は、CLSクラスの潜在能力の高さを示すものとなりました。

日本市場においては、CLS350、CLS500、CLS55 AMGといったモデルが導入され、高い人気を博しました。

2代目 C218型/X218型 (2011年-2018年)：シューティングブレークの登場

2代目CLSクラス（C218/X218）は、よりシャープでダイナミックなデザインへと進化しました。そして、この世代からステーションワゴンモデル「CLSシューティングブレーク」（X218）が登場。クーペのスタイリッシュなデザインとステーションワゴンの実用性を兼ね備えた、個性的なモデルとして注目を集めました。

日本市場では、「CLS350 ブルーエフィシェンシー」や「CLS63 AMG」といったモデルが導入され、環境性能と高性能を両立した点が評価されました。また、期間限定の特別仕様車も発売され、話題となりました。

この世代では、マイナーチェンジを通して、安全装備や快適装備が充実し、より洗練されたモデルへと進化を遂げています。

3代目 C257型 (2018年-2023年)：デジタル化と進化したデザイン

3代目CLSクラス（C257）は、Eクラス（W213）をベースにしながらも、より大型化し、存在感を増しました。特徴的なフロントデザインは、オグロメジロザメをモチーフとしており、ブランドのアイデンティティを明確に示しています。

インテリアは、高級感あふれる素材と先進的なデジタルコックピットが採用され、快適性と操作性が向上しました。後部座席は3人乗りとなり、実用性も向上しています。また、最新の運転支援システムが標準装備され、高い安全性能を実現しています。

日本市場では、「CLS 220 d Sports」と「CLS 450 4MATIC Sports」、そしてAMGモデル「Mercedes-AMG CLS 53 4MATIC+」がラインナップされました。48Vマイルドハイブリッドシステムや9速ATなどの先進技術も採用されています。

マイナーチェンジを経て、デザインや装備がさらに洗練され、2023年に生産終了となりました。後継車としてEQEセダンが位置付けられています。

まとめ：時代を彩る4ドアクーペ

メルセデス・ベンツCLSクラスは、4ドアクーペという新しいカテゴリーを切り開き、常に進化を続けながら、自動車業界に大きな影響を与えてきました。そのスタイリッシュなデザイン、高い走行性能、そして上質なインテリアは、これからも多くのファンを魅了し続けるでしょう。

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