メルセデス・ベンツ・SLS AMG

メルセデス・ベンツ・SLS AMG

メルセデス・ベンツ・SLS AMGは、ドイツの有名自動車メーカー、メルセデス・ベンツのAMG部門によって設計されたスーパーカーです。このモデルは2009年9月のフランクフルトモーターショーでお披露目され、その後、2009年11月にドイツ国内で、2010年3月には欧州市場で販売が開始されました。日本市場には同年6月に正式に導入され、9月28日からの納車が始まりました。SLS AMGは、AMGがこれまでのチューニングモデルとは異なり、完全に独自に開発した初の車両となります。

SLRマクラーレンの流れを継ぐこの車ですが、カーボンモノコックボディの導入を見送ったことにより、価格を抑えています。興味深い点として、開発開始当初はダイムラーがクライスラーとの提携を結んでおり、最初のプロトタイプではダッジ・バイパーの部品が使用されていました。日本国内で販売されているのは左ハンドル仕様のみで、価格は約2,490万円から設定されていました。

デザインには、1954年に発表された300SLが強く影響を及ぼしていて、特にガルウィングドアはその象徴です。加えて、SLS AMGは2010年から2014年にかけてF1のセーフティカーとしても利用されていましたが、2014年には生産が終了し、新たな後継モデルAMG GTが登場しました。

メカニズム

SLS AMGには、AMGの63系モデルで使用されているM156型エンジンを改良し、約120個所にチューニングを施したM159型エンジンが搭載されています。この6.2リッターV型8気筒DOHCエンジンは、乾燥重量205kgという軽量さで、フロントミッドシップに配置されています。トランスミッションには新開発のゲトラグ製7速DCT「AMGスピードシフトDCT-7」が採用され、トランスアクスル方式が用いられています。ボディには、マグナ・シュタイア社が製造したオールアルミニウムのスペースフレームが採用されており、前後の重量配分は47:53に設定されています。加速性能は0-100km/hを3.8秒で達成し、最高速度は317km/hに達します。

バリエーション

ロードスター

2011年10月に発表されたのは、ソフトトップルーフを持つロードスターです。このモデルは、開閉に要する時間がわずか11秒という利便性を特徴としており、ボディ剛性の向上のために40kgの増量がなされましたが、クーペモデルに匹敵する性能を保持しています。ガルウィングドアは横開きに変更されています。

SLS AMG GT3

グループGT3に準拠したレーシング仕様のSLS AMG GT3は、2010年にデビューし、特に2012年のドバイ24時間レースでの優勝が印象的でした。さまざまなレースシーンで活躍し、スーパー耐久やSUPER GTなどでの競技参加がなされました。

SLS AMG E-Cell

SLS AMGの設計を基にした電気自動車であるE-Cellは、2010年に公式に発表され、約2013年に市販化の計画がありました。このモデルは、リチウムイオン二次電池とそれぞれの車輪に接続されたモーターを搭載し、内燃機関モデルに匹敵する性能を目指しています。

SLS AMG ブラックシリーズ

限定生産されたブラックシリーズは、最高出力631PS、最大トルク635N·mという、非常に高い性能を誇ります。

SLS AMG GTファイナルエディション

2013年に発表されたファイナルエディションは、SLS AMGの最終モデルで、カーボンファイバー製のリアウィングやフロントスプリッターを採用し、特別なスタイリングが施されています。全世界で350台のみが生産され、クーペとロードスターの形式で販売されました。

このように、メルセデス・ベンツ・SLS AMGは、デザインや性能で多くの人に愛されつつ、様々なアレンジメントとともに自動車史に名を刻んでいます。

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