メルセデス・ベンツ・Vクラス

メルセデス・ベンツ Vクラス：多様性と高級感を兼ね備えたミニバン

メルセデス・ベンツ Vクラスは、同社が展開するミニバンタイプの乗用車で、その唯一無二の存在感を放っています。3列シートを備え、6名または7名乗車可能な広々とした室内空間は、家族旅行やビジネスユースなど、幅広いニーズに対応します。

Vクラスの歴史は、商用車であるVito（ヴィトー）の乗用車バージョンとして1996年に欧州で幕を開けました。日本市場への導入は1998年。初代モデル（W638）は、FF駆動方式を採用し、直列4気筒エンジンが主力でした。しかし、よりパワフルなエンジンを求める声に応え、後にフォルクスワーゲン製のV型6気筒エンジンも搭載されました。このV型6気筒エンジンの採用は、エンジンベイの設計上の制約を克服する技術的挑戦でもありました。

2003年、Vクラスはモデルチェンジを行い、ビアノ（Viano）として生まれ変わります（W639）。駆動方式はFRとなり、エンジンは3.2L V型6気筒に統一されました。このモデルは、日本市場において「3.2 トレンド」「3.2 アンビエンテ」「3.2 アンビエンテ ロング」の3グレード展開で販売されました。「アンビエンテ」は上位グレードとして充実した装備が提供されました。ロングボディは標準ボディに比べて後部荷室が拡大されましたが、3列目シートの最後部への移動は制限がありました。

2006年、マイナーチェンジにより再び「Vクラス」の名称に戻り、エンジンは3.7L V型6気筒に変更されました。その後もマイナーチェンジを繰り返し、2007年には3.5L V型6気筒DOHCエンジンへと進化。出力向上だけでなく、2011年にはフェイスリフトでヘッドライト、バンパー、インテリアなどが変更され、サスペンションの改良による乗り心地の向上も図られました。更なる顧客満足度向上のため、様々な限定車も展開されました。限定車は特別な装備やデザインを施し、コレクターズアイテムとしても人気を集めました。

2014年、3代目モデル（W447）が登場します。発表当初は2.1L直列4気筒ディーゼルターボエンジンが搭載され、日本市場への導入は2016年。日本仕様は環境規制に対応するため、2.2L直列4気筒ブルーテックエンジンを採用し、燃費性能の向上も実現しました。

3代目Vクラスの特徴は、その多様なアレンジ性です。2列目と3列目のシートは着脱式で、対面式シートアレンジや、2列目シートのみのショーファードリブン仕様、さらにはシートを全て取り外して荷室を最大限に活用することも可能です。安全性も考慮され、各席に3点式シートベルトが標準装備されました。

先進の安全運転支援システムも導入され、「レーダーセーフティパッケージ」や360°カメラシステム、アクティブパーキングアシスト、パークトロニックなどが標準装備されました。タッチパッドによる操作が可能な「COMANDシステム」も採用されています。また、日本市場向けには、リアエンターテイメントシステムや、テールゲートテントなど、様々な純正アクセサリーも開発されました。

3代目Vクラスは、標準ボディ、ロングボディ、エクストラロングボディの3種類のボディサイズが設定され、グレードも充実。その後も継続的に改良が重ねられ、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジン、様々なグレードが追加されました。2018年にはキャンプ仕様の「Marco Polo HORIZON」も登場しています。2019年のマイナーチェンジでは、エクステリアデザインの刷新、インフォテインメントシステムの進化、安全性能の向上などが行われ、2024年には2度目のマイナーチェンジでデザインの刷新や装備の充実、安全性能の向上が図られました。

メルセデス・ベンツ Vクラスは、高級感と多様なニーズに対応できる実用性を兼ね備えた、唯一無二のミニバンとして、進化を続けています。多様なバリエーションと、時代とともに進化する技術は、これからも多くのユーザーを魅了し続けることでしょう。

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