メルローズ・インダストリーズ

メルローズ・インダストリーズ：エンジニアリング企業への戦略的投資で成長を続けるイギリス企業

メルローズ・インダストリーズは、イギリス・ロンドンに本社を置く、エンジニアリング分野に特化した投資会社です。ロンドン証券取引所に上場しており、その積極的なM&A戦略と、買収後の企業再生・再編によって、着実に企業規模を拡大してきました。

設立から2010年代半ばまでの歩み：多様な企業への投資

2003年の設立以来、メルローズ・インダストリーズは多角的な投資戦略を展開してきました。初期の投資対象は、アメリカ合衆国やイギリス、ドイツなど、グローバルに展開する企業でした。精密加工金属部品メーカーや、エンジニアリング企業、そして電力・ガス供給システムメーカーなど、対象となる企業の業種は多岐にわたります。

中でも、アメリカ合衆国の精密加工金属部品メーカーであるダイカストへの投資、イギリスのエンジニアリング企業であるMcKechnieへの投資、そしてドイツの電力・ガス供給システムの自動制御システムメーカーであるElster Groupへの投資などは、同社の投資戦略の多様性を象徴する事例と言えるでしょう。これらの投資を通じて、メルローズ・インダストリーズは貴重な経営ノウハウと市場へのアクセスを獲得し、将来の成長への礎を築きました。しかし、これらの投資の一部は、後に売却されています。ダイカストは2011年に、McKechnieは2007年に、Elster Groupは2015年にハネウェルに売却されました。これらの売却は、企業ポートフォリオの最適化や、より戦略的な投資へのリソース集中といった、同社の積極的な経営姿勢を示す一例として捉えることができます。

2010年代後半からの成長戦略：大型買収と株価上昇

2010年代後半に入ると、メルローズ・インダストリーズはより大胆な投資戦略へとシフトチェンジします。2008年にはイギリスを拠点とする電気機器や航空機部品メーカーであるBrush Groupを買収し、2016年にはアメリカ合衆国のセキュリティ・換気機器メーカーであるNortekを買収しました。特に、Nortekの買収は大きな注目を集め、その結果として株価の大幅な上昇を記録しています。これらの買収は、メルローズ・インダストリーズが単なる投資会社にとどまらず、企業の再生と成長を積極的に推進する存在へと進化していることを示しています。買収後、メルローズ・インダストリーズは、Nortekなどの買収先企業の事業再編や効率化に注力し、収益性の向上に成功しています。

そして、2018年4月には、イギリスの老舗エンジニアリング企業であるGKNの買収を発表しました。この買収は、メルローズ・インダストリーズの企業規模を飛躍的に拡大させ、同社の市場における地位をさらに強固なものにしました。GKNの買収は、メルローズ・インダストリーズの積極的なM&A戦略と、大型買収を成功させる能力の高さを証明する出来事となりました。

まとめ：将来への展望

メルローズ・インダストリーズは、設立以来、多様な投資戦略と大胆なM&A戦略によって、着実に成長を遂げてきました。今後、同社がどのような投資戦略を展開し、どのような企業を買収していくのかは、業界内でも大きな関心を集めています。同社の今後の動向は、エンジニアリング分野のみならず、投資業界全体にとっても注目すべきポイントと言えるでしょう。その戦略的な投資と企業買収の成功事例は、ビジネススクールにおけるケーススタディとしても取り上げられる可能性があります。

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