メルローズ修道院

メルローズ修道院

メルローズ修道院（Melrose Abbey）は、スコットランドの南東部に位置するスコティッシュ・ボーダーズ地方の町メルローズにある、美しいゴシック様式の修道院です。この壮大な建築物は1136年にスコットランド王デイヴィッド1世の命により、シトー会の修道士たちによって設立されました。元々の建物は、イングランドとの戦争や火災などによって何度も破壊されましたが、14世紀末以降に改築された赤レンガの外壁が現在残されています。これはスコットランドの優美な教会建築の象徴として、ヒストリック・スコットランドによって保護されています。

歴史的背景

修道院の起源は古く、7世紀には聖エイデンを祀る修道院が存在していました。しかし、839年にはスコotlandの王ケネス1世によってこの修道院が破壊されました。残された墓地からは、当時の修道院の存在が伺えます。その後、デイヴィッド1世が新たな修道院を建設することを望んだ結果、農作に適した場所を求めて現在のメルローズに新しい修道院が建てられました。

新しい修道院は1146年に完成し、聖母マリアに捧げられました。創立以来、多くの特権と財産が与えられ、急速に成長しました。しかし修道院はイングランドとの衝突に巻き込まれ、1300年と1307年には王エドワード1世による攻撃を受け、その後も1322年のエドワード2世軍による攻撃で壊滅的な被害を受けました。その後、ロバート1世の支援により再興が果たされました。

1385年にも再びイングランド軍による攻撃を受け、修道院は損壊しました。これ以降も、1544年の侵攻によってさらに大きな損傷を受け、その後は修復されることなく衰退していきました。

宗教改革以降

宗教改革時には、修道院の修道士の多くがカトリックを放棄し、1542年には、修道院の収入や資産が王族や貴族に接収されました。最後の修道院長であるジェームズ・スチュアートは1559年に亡くなり、その後の修道院は教会に改造され200年以上も活用されました。さらに、オリバー・クロムウェルの軍による攻撃で修道院は最後の損傷を受けました。

建築の特徴

メルローズ修道院はゴシックスタイルの美しい作りで、十字型平面を持ち、奥行き79メートル、幅42メートルを誇ります。中央の尖塔部分はほとんど失われていますが、見事な彫刻が施された多くの窓が残っており、特に身廊東側の大きな窓は非常に印象的です。修道院周辺には50以上の窓、4つの扉、54の壁龕があり、細部には聖人や植物、龍をテーマにした美しい彫刻群があります。

埋葬者

修道院の墓地には、スコットランドの多くの王族や貴族が眠っています。特にロバート1世の心臓が埋葬されているとされる場所もあり、近年の考古調査で彼の心臓が入った鉛製のケースが発見されたこともあります。これにより、メルローズ修道院はスコットランドの歴史において特別な意味を持つ場所となっています。

現在の活用

現在、メルローズ修道院は歴史的な遺産として観光地となっており、修道院の残党や展示物を見学することができます。また、詩人ウォルター・スコットによっても詩に詠まれ、その美しさが語り継がれています。そして、アメリカのミシガン州にあるヒルズ教会も修道院を模して建設されたことで、世界中にその名を知られる存在となっています。

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