メロディック・スーパー・ハード・キュア
2015年8月26日、日本コロムビアよりリリースされた『メロディック・スーパー・ハード・キュア』は、音楽ユニット「メロキュア」にとって、実に約10年ぶりとなるCD作品です。
その道のりは、前作アルバム『メロディック・ハード・キュア』の発売から10周年を迎えるにあたり、2014年秋に日本コロムビアからメンバーの一人、日向めぐみへ制作の打診があったことから始まりました。日向が「じっくり腰を据えて取り組みたい」との意向を示したことで、翌2015年の発売が決定。単なる記念盤に留まらない、丁寧な制作が期待されることとなりました。
メロキュアは、リーダーである岡崎律子が2004年5月に急逝した後も、活動の休止や解散が正式に公表されることはありませんでした。そのため、本作のリリースに際しても、公式なプロモーションでは「復活」や「再始動」といった表現は一切用いられていません。メンバー構成も、結成以来変わらず岡崎律子と日向めぐみの二人であり続けています。
このアルバムは2枚組で構成され、合計28曲を収録。その内容は、これまでのメロキュアの歩みを網羅しつつ、新たな息吹を吹き込んだ意欲的なものとなっています。
DISC1およびDISC2の一部（1～7曲目）には、メロキュア名義で発表された既発楽曲が収められています。これには、前作アルバム『メロディック・ハード・キュア』に収録されていた全16曲に加え、シングルとしてのみリリースされていた「ホーム＆アウェイ」、そしてアルバム未収録のリアレンジバージョン、さらにはメロキュアの延長線上にあると位置づけられ、2005年に日向めぐみ名義で発表された岡崎律子提供楽曲の全てを含む、計20曲がリマスター音源で収録されています。
DISC2の残りの楽曲（8～12曲目）は、本作のために新たに制作された音源や、日向めぐみ名義の楽曲で構成されています。
新規録音されたメロキュア楽曲としては、既存曲に新たなアレンジやリミックス、ボーカルパートの入れ替えを施したものが5曲収録されています。これらの楽曲では、日向のボーカルパートが再録音されているほか、これまでのCD音源では使用されなかった岡崎のボーカルテイクが初めて陽の目を見ている曲も存在します。
また、日向めぐみ名義の楽曲として、岡崎律子が生前に他のアーティストへ提供した楽曲をカバーした新録バージョンが2曲、そして本作のために書き下ろされた完全な新曲が1曲加えられています。これらの楽曲は、メロキュアとしての歴史を受け継ぎつつ、日向めぐみの現在の表現を伝えるものとなっています。
当初はCDのみの発売が予定されていましたが、発売前のイベントやメディアでの取材において、ファンや関係者からハイレゾ音源化を望む声が多く寄せられました。これに応える形で急遽ハイレゾ音源版の制作が決定し、2015年10月より配信が開始されました。先行配信を行ったe-onkyo musicでは、週間アルバム総合ダウンロードランキングで1位を獲得するなど、その需要の高さと注目度が伺えます。
アルバムを彩る各楽曲には、それぞれのストーリーや特徴があります。例えば、メロキュアの4thシングルとして発表されながら、今回がアルバム初収録となった「ホーム＆アウェイ」は、元々2003年頃に制作されつつ、アニメ放送の遅れから発表が岡崎の逝去後となった経緯を持ちます。日向めぐみは、ライブでのコール＆レスポンスを想定して作った曲だと語っており、曲中の掛け合いコーラスには、周囲の懸念をよそに岡崎律子自身が楽しんで参加していたというエピソードが残されています。
新録バージョンにも多彩な音楽家が参加しています。「1st Priority」のリアレンジは末光篤が担当し、ピアノ・ロックとして再構築されました。ドラムに柏倉隆史、ギターに鈴木俊介といった末光の盟友、そしてベースにはメロキュアファンを公言するUNISON SQUARE GARDENの田淵智也が参加。オリジナル版とは異なるパート分けで、未使用だった岡崎のボーカルトラックも活用されています。「Agapē」のリミックスを手掛けたのは、クラムボンのミトと音楽プロデューサーkz。原曲にエレクトロニックな要素を加え、ミトは120ものボーカルトラックを駆使し、あえて整えすぎないミックスを目指したといいます。西脇辰弥による「ホーム＆アウェイ」は、R&B風のリアレンジで、西脇自身のハーモニカ演奏も聴きどころです。川口圭太による「ふたりのせかい」は、オリジナルより歪んだギターを用いたブギ色の強いアレンジ。日向のライブサポートメンバーであるかどしゅんたろう（ドラム）や、REVALCYのTakeshi（コーラスアレンジ）も参加しています。
既存のアコースティック版として収録された「So far, so near」は、『ストラトス・フォー』のキャラクターソングアルバムにのみ収められていた静謐なバージョン。岡崎のボーカルと日向の英語パート、そして西脇辰弥のピアノとハーモニカのみで構成されています。一方、「Agapē [switched edition]」は、オリジナルアレンジそのままに、岡崎と日向のボーカルパートを入れ替えたユニークな試み。ここでは、CD化されずに残されていた岡崎のメインボーカル音源に、日向が新たにコーラスを重ねています。
日向めぐみ名義のカバー曲は、いずれも岡崎律子が生前に他アーティストへ提供した楽曲です。堀江由衣への提供曲「笑顔の連鎖」は、日向が原曲を気に入っていた縁や、その後の堀江との親交、キングレコードの協力も得て実現。西脇辰弥の編曲により、「限りなく、ほぼメロキュア状態」と評される仕上がりとなりました。『円盤皇女ワるきゅーレ』キャラクターソング「ボクのキモチ」のカバーは、原曲制作時に岡崎が日向に仮歌を依頼した繋がりから。山本陽介の編曲、Takeshiのコーラスアレンジで収録されています。
2005年発表の日向めぐみ名義楽曲からは、『円盤皇女ワるきゅーレ 星霊節の花嫁』主題歌「夏の向こう側」と、『ストラトス・フォー アドヴァンス』エンディングテーマ「ちいさなうた」を収録。これらは『円盤皇女ワるきゅーレ』や『ストラトス・フォー』といった、メロキュアが主題歌などを担当したシリーズの流れで生まれた楽曲であり、日向自身がメロキュアを強く意識した上で、自身の名義で歌うことを選んだ経緯が語られています。
そして、本作に花を添える日向めぐみ名義の完全新曲「my favoritz」。アルバム制作期間中に改めて感じた想いを込めたミドルテンポの楽曲で、日向はスタジオで歌詞を書き直しながら完成させたといいます。編曲は川口圭太、コーラスアレンジはTakeshiが担当。
『メロディック・スーパー・ハード・キュア』は、メロキュアの豊かな楽曲群を改めて紹介するだけでなく、新しい解釈や、未発表の音源、そして未来へ繋がる新曲をも含んだ、その名の通り「スーパー」な作品として、ファンにとって待ち望まれた、そして大切にされ続けるであろう一枚です。
その道のりは、前作アルバム『メロディック・ハード・キュア』の発売から10周年を迎えるにあたり、2014年秋に日本コロムビアからメンバーの一人、日向めぐみへ制作の打診があったことから始まりました。日向が「じっくり腰を据えて取り組みたい」との意向を示したことで、翌2015年の発売が決定。単なる記念盤に留まらない、丁寧な制作が期待されることとなりました。
メロキュアは、リーダーである岡崎律子が2004年5月に急逝した後も、活動の休止や解散が正式に公表されることはありませんでした。そのため、本作のリリースに際しても、公式なプロモーションでは「復活」や「再始動」といった表現は一切用いられていません。メンバー構成も、結成以来変わらず岡崎律子と日向めぐみの二人であり続けています。
このアルバムは2枚組で構成され、合計28曲を収録。その内容は、これまでのメロキュアの歩みを網羅しつつ、新たな息吹を吹き込んだ意欲的なものとなっています。
DISC1およびDISC2の一部（1～7曲目）には、メロキュア名義で発表された既発楽曲が収められています。これには、前作アルバム『メロディック・ハード・キュア』に収録されていた全16曲に加え、シングルとしてのみリリースされていた「ホーム＆アウェイ」、そしてアルバム未収録のリアレンジバージョン、さらにはメロキュアの延長線上にあると位置づけられ、2005年に日向めぐみ名義で発表された岡崎律子提供楽曲の全てを含む、計20曲がリマスター音源で収録されています。
DISC2の残りの楽曲（8～12曲目）は、本作のために新たに制作された音源や、日向めぐみ名義の楽曲で構成されています。
新規録音されたメロキュア楽曲としては、既存曲に新たなアレンジやリミックス、ボーカルパートの入れ替えを施したものが5曲収録されています。これらの楽曲では、日向のボーカルパートが再録音されているほか、これまでのCD音源では使用されなかった岡崎のボーカルテイクが初めて陽の目を見ている曲も存在します。
また、日向めぐみ名義の楽曲として、岡崎律子が生前に他のアーティストへ提供した楽曲をカバーした新録バージョンが2曲、そして本作のために書き下ろされた完全な新曲が1曲加えられています。これらの楽曲は、メロキュアとしての歴史を受け継ぎつつ、日向めぐみの現在の表現を伝えるものとなっています。
当初はCDのみの発売が予定されていましたが、発売前のイベントやメディアでの取材において、ファンや関係者からハイレゾ音源化を望む声が多く寄せられました。これに応える形で急遽ハイレゾ音源版の制作が決定し、2015年10月より配信が開始されました。先行配信を行ったe-onkyo musicでは、週間アルバム総合ダウンロードランキングで1位を獲得するなど、その需要の高さと注目度が伺えます。
アルバムを彩る各楽曲には、それぞれのストーリーや特徴があります。例えば、メロキュアの4thシングルとして発表されながら、今回がアルバム初収録となった「ホーム＆アウェイ」は、元々2003年頃に制作されつつ、アニメ放送の遅れから発表が岡崎の逝去後となった経緯を持ちます。日向めぐみは、ライブでのコール＆レスポンスを想定して作った曲だと語っており、曲中の掛け合いコーラスには、周囲の懸念をよそに岡崎律子自身が楽しんで参加していたというエピソードが残されています。
新録バージョンにも多彩な音楽家が参加しています。「1st Priority」のリアレンジは末光篤が担当し、ピアノ・ロックとして再構築されました。ドラムに柏倉隆史、ギターに鈴木俊介といった末光の盟友、そしてベースにはメロキュアファンを公言するUNISON SQUARE GARDENの田淵智也が参加。オリジナル版とは異なるパート分けで、未使用だった岡崎のボーカルトラックも活用されています。「Agapē」のリミックスを手掛けたのは、クラムボンのミトと音楽プロデューサーkz。原曲にエレクトロニックな要素を加え、ミトは120ものボーカルトラックを駆使し、あえて整えすぎないミックスを目指したといいます。西脇辰弥による「ホーム＆アウェイ」は、R&B風のリアレンジで、西脇自身のハーモニカ演奏も聴きどころです。川口圭太による「ふたりのせかい」は、オリジナルより歪んだギターを用いたブギ色の強いアレンジ。日向のライブサポートメンバーであるかどしゅんたろう（ドラム）や、REVALCYのTakeshi（コーラスアレンジ）も参加しています。
既存のアコースティック版として収録された「So far, so near」は、『ストラトス・フォー』のキャラクターソングアルバムにのみ収められていた静謐なバージョン。岡崎のボーカルと日向の英語パート、そして西脇辰弥のピアノとハーモニカのみで構成されています。一方、「Agapē [switched edition]」は、オリジナルアレンジそのままに、岡崎と日向のボーカルパートを入れ替えたユニークな試み。ここでは、CD化されずに残されていた岡崎のメインボーカル音源に、日向が新たにコーラスを重ねています。
日向めぐみ名義のカバー曲は、いずれも岡崎律子が生前に他アーティストへ提供した楽曲です。堀江由衣への提供曲「笑顔の連鎖」は、日向が原曲を気に入っていた縁や、その後の堀江との親交、キングレコードの協力も得て実現。西脇辰弥の編曲により、「限りなく、ほぼメロキュア状態」と評される仕上がりとなりました。『円盤皇女ワるきゅーレ』キャラクターソング「ボクのキモチ」のカバーは、原曲制作時に岡崎が日向に仮歌を依頼した繋がりから。山本陽介の編曲、Takeshiのコーラスアレンジで収録されています。
2005年発表の日向めぐみ名義楽曲からは、『円盤皇女ワるきゅーレ 星霊節の花嫁』主題歌「夏の向こう側」と、『ストラトス・フォー アドヴァンス』エンディングテーマ「ちいさなうた」を収録。これらは『円盤皇女ワるきゅーレ』や『ストラトス・フォー』といった、メロキュアが主題歌などを担当したシリーズの流れで生まれた楽曲であり、日向自身がメロキュアを強く意識した上で、自身の名義で歌うことを選んだ経緯が語られています。
そして、本作に花を添える日向めぐみ名義の完全新曲「my favoritz」。アルバム制作期間中に改めて感じた想いを込めたミドルテンポの楽曲で、日向はスタジオで歌詞を書き直しながら完成させたといいます。編曲は川口圭太、コーラスアレンジはTakeshiが担当。
『メロディック・スーパー・ハード・キュア』は、メロキュアの豊かな楽曲群を改めて紹介するだけでなく、新しい解釈や、未発表の音源、そして未来へ繋がる新曲をも含んだ、その名の通り「スーパー」な作品として、ファンにとって待ち望まれた、そして大切にされ続けるであろう一枚です。
もう一度検索
【記事の利用について】
タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。
【リンクついて】
リンクフリーです。