メンカウラー王のピラミッド

メンカウラー王のピラミッド

メンカウラー王のピラミッドは、エジプトのギーザにそびえ立つ、古王国時代に築かれたピラミッドの一つです。このピラミッドは、中王国のファラオ、メンカウラーに捧げられたもので、英語では「Pyramid of Menkaure」と呼ばれています。全体の高さはかつて65.5メートルありましたが、現在の高さは62メートルにまで減少しています。基礎部分は一辺が105メートル、底面積は約105平方メートルです。また、勾配は51度20分と、高さに対して非常に急な形状をしています。

ピラミッドとしては、ギーザに位置する3つの主要なピラミッドの中で最も小さく、他の2つと比較すると、その長さは約半分、体積に至っては8分の1ほどの大きさです。このような小型の設計には理由があり、多くは資金不足が要因と考えられています。歴史的背景を考えると、財政的な制約があったことが、このピラミッドの建設に影響を与えた可能性があります。

ピラミッドの北側には大きな傷跡が確認でき、これは以前に人々がこの構造物を破壊しようと試みた名残です。結局、破壊は成功せず、今に残る傷として残っています。メンカウラー王のピラミッドは、古代エジプトの第4王朝に建設されたものであり、所有者が分かっているギーザの三大ピラミッドの中では、クフ王の第1ピラミッドのみが名前を持っています。そのため、メンカウラー王のピラミッドは「第3ピラミッド」として知られています。

1837年にこのピラミッドの玄室から遺体の一部が発見されましたが、その後、ロンドンの大英博物館に運搬中に船が沈没してしまい、遺体がメンカウラー王のものであるかどうかは不明のままです。

メンカウラー王は、ピラミッド建設にあたり「民衆を労働させて作る」という考えを掲げ、規模を縮小したとされるため、人格者であるとの説が存在します。しかし、この見解には根拠がなく、ピラミッド建設は民衆の失業対策と為されていたという説もあります。このため、規模の縮小は逆に民衆を重んじない政策と受け取られることもあります。

1979年には「メンフィスとその墓地遺跡、ギーザからダハシュールまでのピラミッド地帯」として、ユネスコの世界遺産に登録され、その重要性は国際的に認知されています。歴史的、文化的な価値を持つこのピラミッドは、古代エジプトの建築技術のみならず、当時の社会の状況をも物語っています。当時の人々の信仰や生活様式、さらには政治情勢を垣間見ることができる貴重な遺跡です。

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