メヴレヴィー教団

メヴレヴィー教団：旋舞と神秘主義の融合

メヴレヴィー教団は、イスラム教における神秘主義運動であるスーフィズムの一派です。13世紀、偉大な詩人にして神秘家であるジャラール・ウッディーン・ルーミーによってトルコで創設されました。日本語では旋舞教団として知られ、その宗教儀式であるセマー（旋回舞踏）は、世界的に有名です。

セマーは、長いスカートを身につけた信者たちが、音楽に合わせてゆっくりと、そして次第に速く回転する舞踏です。単なる踊りではなく、神への祈りの手段であり、回転する動きを通して、宇宙の運行や神との一体化を表現する深い精神性を持ちます。この独特の儀式は、観る者にも神秘的な感動を与えます。

教団の中心地は、ルーミーが生涯を終えたトルコの都市コンヤです。彼の霊廟は、かつては教団の象徴であり、多くの巡礼者を集めていました。ルーミーの著作は、スーフィズムの理解に欠かせない貴重なものです。『マスナヴィー』『シャムセ・タブリーズ』『ルーミー語録』などがありますが、中でも『マスナヴィー』は、14年の歳月をかけて執筆された全6巻、2万5000句にも及ぶ大作で、「ペルシア語のコーラン」と称賛されています。この作品は、神秘的な詩と比喩を通して、神への愛や人間の魂の探求を描いています。

15世紀頃には、オスマン帝国の庇護を受けてメヴレヴィー教団は隆盛を極めました。中には、セリム3世のように、熱心な信者であったスルタンもいました。しかし、1923年のトルコ革命後の「脱イスラム政策」により、1927年までに霊廟は破壊され、教団は解散を余儀なくされました。

その後、メヴレヴィー教団とその文化遺産の価値が見直され、霊廟は修復、博物館として一般公開されるようになりました。セマーも、ルーミーの命日などに体育館などで披露されるようになり、トルコの古都コンヤを象徴する伝統行事として復活を遂げています。セマーの儀式は、その独特の文化と精神性を認められ、ユネスコの無形文化遺産にも登録されています。

今日、メヴレヴィー教団は、かつての隆盛を取り戻したわけではありませんが、その神秘的な旋回舞踏と、ルーミーの残した豊かな思想は、世界中の人々に、神への探求と人間の精神の深さを伝えています。彼らの歴史は、宗教と文化、そして政治的変動が複雑に絡み合ったトルコの物語の一端を垣間見せてくれます。 メヴレヴィー教団の遺産は、今後も多くの人の心を魅了し続けることでしょう。

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