メークローン川

メークローン川

メークローン川（แม่น้ำแม่กลอง）は、タイ西部のカーンチャナブリー県を源流とし、ラーチャブリー県、サムットソンクラーム県を経てタイランド湾に注ぐ、重要な河川です。メークロン川、メクロン川とも表記されます。

概要

メークローン川は、カーンチャナブリー県北部のクアンシーナカリン国立公園内に源を発し、カーンチャナブリーの市街でクウェー川と合流します。この合流地点は歴史的な背景を持ち、第二次世界大戦中に日本軍によって建設された泰緬鉄道の鉄橋が架けられた場所としても知られています。当時、「メクロン河永久橋」と呼ばれたこの橋は、映画『戦場にかける橋』でクウェー川に架かる橋として描かれましたが、実際にはメークローン川に架かっていたものでした。

映画の影響で、橋が架かっている川こそがクウェー川であるという誤った認識が広まりました。そのため、1960年頃に、合流地点から上流部分を「クウェー・ヤイ」（大クウェー川）と改称し、合流するクウェー川を「クウェー・ノイ」（小クウェー川）と呼ぶようになりました。合流地点より下流は、従来通りメークローン川と呼ばれています。

メークローン川は、開発が進んだ河川でもあり、クアンシーナカリン国立公園内にはシーナカリンダム、カーンチャナブリー県タームワン郡にはワチラーロンコーンダムが建設されています。また、下流部には運河が多数建設されており、水上マーケットとして有名なダムヌーンサドゥワック水上市場もメークローン川水系に位置しています。

河口部には砂州や干潟が発達し、二枚貝の一種であるSolen regularisが多く生息しています。また、東側にはマングローブ林も見られます。これらの豊かな生態系が評価され、2001年にラムサール条約登録地となりました。

2006年には、メークローン川水系に生息する新種の淡水エイが発見され、「メークロンエイ」（Himantura kittipong）と名付けられました。

特徴

源流と流域: カーンチャナブリー県北部からタイランド湾まで、タイ西部を横断するように流れています。
クウェー川との合流: カンチャナブリー市街でクウェー川と合流し、歴史的なエピソードを持つ場所となっています。
ダムの存在: シーナカリンダム、ワチラーロンコーンダムなどのダムが建設され、水資源や電力供給に貢献しています。
水上マーケット: ダムヌーンサドゥワック水上市場など、メークローン川水系を利用した水上マーケットが有名です。
豊かな生態系: 河口部には砂州や干潟、マングローブ林が発達し、多様な生物が生息しています。
ラムサール条約登録地: 生物多様性の重要性が認められ、ラムサール条約登録地に指定されています。
新種の発見: 新種の淡水エイ「メークロンエイ」が発見され、学術的にも注目されています。

支流

クウェー川

メークローン川は、タイの自然と歴史、そして人々の生活に深く関わる重要な河川です。その豊かな恵みは、地域社会の発展を支え、多様な生態系を育んでいます。

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