メートルダール

メートルダール：芸術の匠の競走生活と第二のキャリア

メートルダール（Maitres d'Art）は、2013年2月22日生まれの競走馬である。その名前はフランス語で「芸術の匠」を意味し、母馬の名に因んでいる。フランスにおける人間国宝に相当する称号を想起させる、風格のある名を持つこの馬は、華々しい勝利と苦杯を味わう経験を積み重ね、記憶に残る競走生活を送った。

2歳時には、デビュー戦で3着とまずまずの滑り出しを見せると、その後2勝を挙げる。3歳になると、重賞初挑戦となる京成杯で3着、共同通信杯でも3着と好成績を収める。青葉賞では5着に終わるものの、着実に力を付けている様子がうかがえた。しかし、セントライト記念では6着と結果を残せず、その後は条件クラスで経験を積むことになる。

4歳シーズン、アメジストステークスを制し、オープン入りを果たす。続く新潟大賞典では、単勝1番人気に支持されるも3着に敗れる。その後、条件クラスに降級するも、多摩川ステークスで勝利し、再びオープンに昇級する。関屋記念では再び単勝1番人気に推されたものの12着と大敗を喫し、約4ヶ月の休養に入る。そして迎えた年末の中日新聞杯。このレースで、メートルダールは中団から鋭い末脚を発揮し、逃げ粘るロードヴァンドールを差し切って、待望の重賞初制覇を成し遂げた。

5歳シーズンからは、さらに上の舞台に挑戦する。金鯱賞では8着、GIレース初挑戦となった大阪杯では10着と、結果を残すことはできなかった。その後、新潟記念で2着に入る健闘を見せ、中日新聞杯では5着に終わった。6歳シーズンはアメリカジョッキークラブカップで3着に入るも、その後は着外が続く。7歳シーズンも現役を続けたが、勝利には届かず、新潟記念で17着に敗れた後、11月28日付で競走馬登録を抹消され、引退することとなった。

競走馬としてのキャリアを終えたメートルダールは、埼玉県東松山市のウィルスタッドで乗馬となり、新たな道を歩み始めた。馬術競技大会にも出場するなど、第二の馬生でも活躍を見せている。

メートルダールの血統背景も注目に値する。母イグジビットワンはイタリアで重賞を2勝している名牝であり、その甥には2024年ダービー卿チャレンジトロフィーを制したパラレルヴィジョンがいる。さらに、3代母Bold Empressの半兄には英2000ギニー優勝馬のZafonic、半弟には仏G3優勝馬のZamindarといった名馬がいるなど、恵まれた血統を受け継いでいる。

競走馬時代には、幾多のレースを戦い抜き、重賞制覇という栄光を掴んだメートルダール。しかし、GI制覇という目標には届かなかった。それでも、その輝かしい活躍と、引退後の新たな挑戦は、多くの競馬ファンに感動と記憶を与え続けている。華麗な競走生活と、穏やかな第二の馬生を送るメートルダールは、まさに「芸術の匠」の名にふさわしい競走馬と言えるだろう。

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