モスキート (音響機器)

モスキートデバイスについて

モスキートデバイスとは、超高周波を利用した音響機器の一種で、特に米国で開発されました。この機器は17 kHzという高周波音を発生させ、一般的には「モスキート音」と呼ばれています。面白いことに、この音は若者には聞こえますが、高齢者にはほとんど聞こえないという特性があるため、町や公園などの公共の場で使用されることが多いです。特に、素行が悪いとされる若者を寄せ付けないために、施設管理者に販売され、世界各国で公共交通機関や店舗に9000台以上導入されています。

使用の背景と問題点

イギリスの企業Compound Security Systemsが初めて開発したモスキートデバイスは、その導入が広がる中で「人間に苦痛を与える」との批判が上がり始めました。この装置は、聞かれる対象を限定できず、何も悪いことをしていない子供や動物にも影響を及ぼすことが問題視されています。そのため、若者と高齢者の間に世代間対立を引き起こす原因ともなりつつあります。アイルランドのオンブズマンは、モスキートデバイスの使用が子供への暴行として位置づけられる可能性があると警告しています。

健康被害の懸念

モスキートデバイスは高音であるため、使用者は自らその音を聞くことができません。このため、音量を危険なレベルまで上昇させてしまうリスクがあります。多くのモスキートデバイスは100デシベルを超える音を出し、この音は内耳神経を損傷することで難聴を引き起こすことがあります。聴覚が敏感な自閉症患者や過敏症の人々にとって、その苦痛の体験は計り知れません。

被害の範囲

モスキート音は、約40メートルから60メートルの範囲に届きます。そのため、幼児やペットもこの高周波音を感じ取ることができ、苦痛を訴えられないまま周囲の人々に影響を与える懸念があります。特に赤ん坊は言葉で苦痛を伝えられないため、その存在に気づかない可能性があります。

使用禁止の動き

アメリカやイギリスでは、モスキートデバイスの使用が人権侵害として抗議されています。全米自閉症協会は、これらの装置を禁止すべきだと訴えています。ペンシルベニア州では、自治体が設置したモスキートデバイスに対し、議員が抗議活動を行っています。イギリスでも若者が反対キャンペーンを展開しており、多くの公共施設から排除されています。

日本における状況

日本でも、東京都足立区の公園にモスキートデバイスが導入され、商業施設でも見られますが、法的規制は存在しません。例えば、住宅街でもプライバシーの問題が起きており、隣人が高音でモスキート音を流すことで、周囲の住民が苦痛を訴えるケースが増えています。

まとめ

モスキートデバイスは、高周波音を利用しているため、若者をターゲットにした防犯対策として注目されてきましたが、その使用には深刻な人権問題や健康リスクがあることが明らかになっています。今後、このデバイスをどう扱うべきか、社会全体で議論が必要とされるでしょう。

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