モスクワ休戦協定

モスクワ休戦協定

モスクワ休戦協定（Moscow Armistice）は、1944年9月19日にフィンランド、ソ連、イギリスとの間で締結された重要な合意です。この協定により、長引いていた継続戦争は事実上終息を迎えることとなりました。この合意は、1940年の冬戦争の終結時に結ばれたモスクワ講和条約の修正版ともいえるものです。

背景

1944年夏、ソ連軍の攻勢が強まる中で、フィンランド軍は一定の抵抗を見せていました。しかし、ドイツ軍の敗北により、戦局は不利な方向に進展しつつありました。このような状況を受けて、フィンランドは大統領をリスト・リュティからカール・グスタフ・エミール・マンネルヘイムに交代させ、休戦に向けた準備を進めました。

合意内容

モスクワ休戦協定では、以下のような条件が定められました。まず、1940年のモスクワ講和条約に基づき、フィンランドはカレリアやサラ、さらにフィンランド湾にある諸島の割譲を受け入れました。また、ソ連は新たにペツァモ全域を受け取ることで、フィンランドの主要なニッケル鉱山とバレンツ海へのアクセスを奪いました。これによってフィンランドは経済的にも大きな打撃を受けることとなります。しかし、ソ連は1940年に取得したハンコ半島の租借権を返却し、代わりにポルッカラの50年間の租借権を取得しました。ポルッカラはフィンランドの首都ヘルシンキから約30kmの距離に位置し、長距離砲による射撃が可能でした。ポルッカラは1956年にフィンランドに返還されます。

フィンランドは、ソ連に対して返済する賠償金として、6年間で約3億ドル（現在の40億ドルに相当）分の物資を提供することにも同意しました。さらに、フィンランド共産党の合法化など政党に関する釈放や、戦争責任者の逮捕・裁判を行うことも決定されました。特に、フィンランド第5代大統領リスト・リュティに対する裁判が注目を集めました。また、ドイツとフィンランド間のリュティ＝リッベントロップ協定は無効化され、フィンランド領内のドイツ軍の武装解除が求められました。

戦後の影響

この休戦協定は、1944年から1945年にかけてのラップランド戦争への道を開くことになり、フィンランドは自国領内のドイツ軍に撤退を求める必要がありました。さらに、戦後のフィンランドは国際社会への復帰を果たすために、外交政策を見直す必要がありました。

モスクワ休戦協定は、フィンランドとソ連、そしてイギリスの間の重要な合意であり、第二次世界大戦後の国際情勢に多大な影響を与えました。最終的に、フィンランドと連合国諸国との間の正式な講和条約は1947年にパリで締結されたパリ条約によって確定しました。この協定は、フィンランドの安全保障と国際的な地位に重要な役割を果たしたと言えるでしょう。

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