モズスーパーフレア

モズスーパーフレア：逃げ切りで魅せた、アメリカンパワーと日本の技術

2015年4月1日、アメリカ合衆国で誕生した競走馬モズスーパーフレア。1歳時にはキーンランド1歳馬セールで高額落札され、日本へ輸入されました。栗東・音無秀孝厩舎に入厩し、2017年8月、小倉芝1200mの新馬戦でデビュー。松若風馬騎手とのコンビで逃げ切り勝ちを収めると、華々しいデビューを飾りました。

しかし、2歳時はその後勝利を掴むことができず、3歳になってからも安定した成績を残すには至りませんでした。複数の騎手が騎乗する中で、持ち味のスピードを生かした逃げの戦法が確立されていく過程は、試行錯誤の連続でした。萌黄賞で中谷雄太騎手が初騎乗した際、新馬戦の映像を参考に「逃げた方がいい」という判断を下し、スピードを活かした競馬に転換。2勝目を挙げたことで、モズスーパーフレアの新たな可能性が開かれました。その後も、北村友一騎手、武豊騎手など、多くの名手とコンビを組みながら経験を積み重ね、オープン入りを果たします。

4歳となった2019年、古馬初戦のカーバンクルステークスでオープン昇格後初勝利を挙げると、続くオーシャンステークスではクリストフ・ルメール騎手との初コンビで重賞初制覇を達成。驚異的なペースで逃げ切り、その潜在能力の高さを改めて証明しました。しかし、続く高松宮記念では15着と惨敗。調教のやり過ぎやローテーションが影響した可能性が示唆されました。その後、北九州記念では松若風馬騎手が久しぶりに騎乗し4着。このレースを境に松若騎手が主戦騎手となり、モズスーパーフレアの戦いの支えとなりました。スプリンターズステークスでは、松若騎手の逃げの指示のもと、2着と好走しました。京阪杯では松山弘平騎手とのコンビで8着と結果を残せず、新たな課題も見えてきました。

5歳になった2020年、シルクロードステークスで4着とまずまずの成績を残した後、迎えた高松宮記念。9番人気と低評価でしたが、ハナを切って逃げ、直線でも衰えることなく2位でゴール。クリノガウディーの降着により、繰り上がりでGI初制覇を飾りました。松若騎手とのコンビでのGI初制覇は、関係者にとって大きな喜びとなりました。続く北九州記念では2着、スプリンターズステークスでは10着と結果を残せませんでしたが、JBCスプリントでは初ダート挑戦ながら4着と、新たな可能性を示しました。

6歳(2021年)には、シルクロードステークスで17着と大敗。高松宮記念では5着に終わり連覇はならず、その後も北九州記念3着、スプリンターズステークス5着と苦戦が続きました。JBCスプリントでは3着と健闘しましたが、カペラステークスを最後に引退。北海道浦河町の谷川牧場で繁殖牝馬として第二の人生を歩み始めました。モズスーパーフレアは、数々の名勝負を繰り広げ、多くのファンを魅了した、記憶に残る名馬として、競馬史にその名を刻みました。その活躍は、多くの人々に感動と勇気を与え続け、忘れられることはありません。アメリカンパワーと日本の技術が見事に融合した、真のサラブレッドと言えるでしょう。

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