モタケス

モタケスについて

モタケス（古代ギリシア語: μόθαξ、mothax）という言葉は、古代ギリシア語のドーリス方言に由来し、「まま兄弟」または「異母兄弟」という意味を持ちます。この言葉の特に注目すべき点は、スパルタという特異な社会における特定の階層を指すために使われたことです。日本語では、モタクスというカタカナ表記も用いられますが、複数形の「モタケス」がより一般的に使われているようです。

モタケスが特に重要な意味を持ったのは、ペロポネソス戦争の時代、すなわち紀元前431年から404年にかけてのスパルタ社会でした。スパルタ人の父と、ヘイロタイという非自由身分の母との間に生まれた者やその子孫、あるいは没落したスパルタ市民たちがモタケスと呼ばれました。彼らはスパルタ人とは異なる社会的地位を持ち、軍団の共通の食事に参加することは許されず、スパルタ人戦士と「平等」に扱われることはなかったのです。

モタケスの社会的地位

自由身分でありながらスパルタ市民とは認められなかったモタケス達は、スパルタ市民の家庭に育てられることが多く、彼らの乳兄弟として共に成長しました。このため、一定の親密さや結びつきを持っていた一方で、社会の中での彼らの地位は限られていました。モタケスはスパルタ市民と同等の権利を持たず、スパルタの軍に参加する際の費用も、一般的には裕福な一族が支援する形となっていました。

戦闘に参加するモタケスの中には、軍事的な指導者へと成長した者もいました。例えば、ギュリッポスやリュサンドロスなどはモタケスの代表例とされ、彼らは出世し、歴史に名前を残しました。ギュリッポスの父は反逆者として追放されていましたが、彼自身はスパルタの戦士として活躍しました。また、リュサンドロスは貧しい家庭から出発しながらも、その才能を発揮して大きな成功を収めました。

このように、モタケスはスパルタ社会の中で特異な立場を保ちながらも、様々な形でその存在を示していたのです。彼らの人生や役割は、スパルタの軍事的および社会的な構成を理解する上で非常に重要であり、その影響は古代ギリシャの歴史にも大きな痕跡を残しています。

参考文献

• - Hodkinson, Stephen. Property and Wealth in Classical Sparta (The Classical Press of Wales, 2000) ISBN 0-7156-3040-7
• - Pomeroy, Sarah B., et al. Ancient Greece. New York, New York: Oxford UP, Inc, 1999. 483.

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