モダン日本

モダン日本

『モダン日本』は、昭和初期の1930年に創刊された娯楽雑誌で、初刊の巻頭で著名な作家菊池寛が「現代日本」の生活や娯楽、趣味に焦点を当てることを宣言しました。当初は「モダン・ライフ」という名称が考えられ、誌面はエロティックでグロテスクな内容が特徴でした。特に、女性の恋愛に関する読み物や外国の女優のグラビア、海外での猟奇事件に関する記事など、多様なコンテンツが盛り込まれました。また、当時注目された大学野球などのスポーツにも力を入れました。

創刊から戦前までの経緯

初刊が好評を博したものの、その後は思うように発展しませんでした。しかし、1931年に馬海松が編集に携わると、誌面を一新し、80ページにわたる価格10銭の号として再登場しました。この時期には、時局に影響を受けた政治的な内容も取り上げられるようになり、川端康成や吉川英治などの著名な作家による連載が目を引きます。戦争の激化に伴い、馬海松は朝鮮に戻り、雑誌は一時的に『新太陽』という名称に変更されました。

戦後の復刊と影響

戦後、1946年から『モダン日本』は再び刊行を開始し、牧野英二が新たにこの雑誌の舵を取ります。刊行後すぐに、読者は急増し、1947年には発行部数が20万部を記録しました。この時期には大佛次郎や田村泰次郎などの著名な作家が寄稿し、久生十蘭による連載も人気を集めました。著名な作家吉行淳之介は、1947年に新太陽社に入社し、後に編集部に移った際には『モダン日本』を伝統ある娯楽雑誌として位置づけていました。1948年には澁澤龍彦がアルバイトとして加入し、多様な作家が参加する場となりました。

編集の変遷

雑誌は様々な漫画を掲載し、挿絵画家として風間完や永田力も起用されましたが、1949年に入ると経営が厳しくなり、1950年の4月号をもって『モダン日本』は廃刊となりました。編集者たちは新たにモダン日本出版部を設立し、小型版の『別冊モダン日本』を刊行し、これが再び好評を得ることとなりました。特に「全国色街案内」などの特集号は人気を博しましたが、牧野の経営方針に関する対立から、再び廃刊となりました。

廃刊後の活動

『別冊モダン日本』の廃刊後、牧野たちは新たに三世社で『講談讀切倶楽部』を創刊します。吉行は多くの作家を発掘し、同時に自身も創作活動を続けました。1959年には三世社より『週刊モダン日本』が創刊されたものの、かつての栄光を再現することは叶いませんでした。こうした歴史を経ながらも、『モダン日本』は昭和文学の一部としての地位を確立し、多くの影響を与えた雑誌として記憶されています。

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