風間完

風間完：挿絵の世界を彩った画家

風間完（かざま かん）は、1919年1月19日に生まれ、2003年12月27日に没した日本の挿絵画家です。彼の作品は、美人画や風景画にとどまらず、数々の新聞や雑誌に掲載された小説の挿絵として広く親しまれました。特に、1966年（昭和41年）に放送されたNHKの朝の連続テレビ小説「おはなはん」のタイトル画は、彼の代表作として知られています。

生涯と芸術の探求

風間は、1939年（昭和14年）に東京高等工芸学校を卒業後、2年間兵役に就きました。病を得て帰還した後、内田巖、猪熊弦一郎、荻須高徳といった著名な画家に師事し、芸術家としての道を歩み始めます。1953年（昭和28年）には、朝日新聞夕刊小説である邦枝完二の「恋あやめ」で挿絵画家としてデビューを果たし、翌年には新制作派協会の会員となりました。

1957年（昭和32年）からの2年間、風間はパリへ留学し、グランド・ショーミエール研究所で学びました。また、版画家のジョニー・フリードランデルに師事し、版画制作の技術を磨きました。1967年（昭和42年）には再びパリに渡り、フリードランデル工房にて銅版画制作に取り組むなど、精力的に創作活動を行いました。東京の中野に自宅とアトリエを構え、制作に打ち込みました。

受賞歴

風間の才能は数々の賞によって認められています。1949年には新製作派協会の新作家賞を受賞し、1964年には講談社挿絵賞を受賞しました。そして、2002年には長年の功績が認められ、菊池寛賞を受賞しています。

家族と出版

風間の兄である風間真一は編集者であり、三木蒐一の筆名で小説「地下鉄伸公」を執筆しました。妹は随筆家の十返千鶴子です。風間自身は妻との間に3人の息子をもうけました。

彼は、挿絵画家としての活動の傍ら、数多くの著作も発表しました。『この町 この味』（光文社、1983年）、『さし絵の余白に』（文化出版局、1983年）、大著である『風間完自選集』（朝日新聞社、1985年）、『エンピツ画のすすめ』（朝日文庫、1987年）、『旅のスケッチ』（富士見書房、1992年）、『風間完 旅のスケッチ帖』（角川書店、1995年）などがあります。また、長男である風間研によって、『挿絵画家 風間完』（平凡社、2023年）が出版されています。

風間完は、挿絵の世界において独自の地位を築き、多くの人々に感動と喜びを与えました。彼の作品は、時代を超えて愛され続けています。

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