モデナ (F1)

モデナ：1年で消えたF1チームの軌跡

1991年、F1世界選手権にモデナという名のレーシングチームが登場しました。イタリア・モデナを拠点とし、ランボルギーニとの深い繋がりから、ランボやモデナ・ランボの別名でも知られています。その歴史は短く、栄光に満ちたものではありませんでしたが、F1界に独特の足跡を残したチームとして、今なお語り継がれています。

波乱の始まり：資金持ち逃げとチーム移設

モデナのF1参戦計画は、メキシコ人実業家フェルナンド・ゴンザレス・ルナが中心となって推進されました。当初はメキシコ初のF1チームとして計画されていましたが、ルナは1990年7月、チーム資金を持ち逃げし、失踪するという衝撃的な事態を引き起こしました。

この事態を受けて、ランボルギーニはイタリア人資産家カルロ・パトルッコと協力し、チームをイタリア・モデナに移転。さらに、日本の土井不動産がスポンサーとなり、チームは「Central Park」ブランドを掲げて、1991年シーズンのF1に参戦することになりました。

マシンとドライバー：期待と現実

モデナのマシンは、マウロ・フォルギエリが設計したシャシー「291」に、ランボルギーニ製のLE3512V型12気筒エンジンを搭載。特徴的な斜めに傾斜したサイドポンツーンが目を引きました。

ドライバーには、経験豊富なニコラ・ラリーニと、国際F3000選手権で活躍したエリック・ヴァン・デ・ポールが起用されました。開幕戦のアメリカGPでは、ラリーニが7位で完走。第3戦サンマリノGPでは、ヴァン・デ・ポールが一時5位を走行するなど、潜在能力の高さを示しました。しかし、天候や機械トラブルに悩まされ、上位入賞には届きませんでした。

低調な成績とチーム崩壊

シーズンを通して、モデナは低調な成績に終わります。フォルギエリは開幕から2ヶ月でチームを去り、後任のナイジェル・コパースウェイトはサイドポンツーンを廃止するなど、マシンの改良を試みましたが、効果は限定的でした。2人のドライバーが合計6回しか決勝レースに出場できず、ヴァン・デ・ポールに至ってはサンマリノGPのみに出場したという結果に終わりました。

1992年シーズンに向けて、フェラーリのGTOを買収し、フォード製のエンジンを使用する計画もあったものの、資金不足により、モデナはF1から撤退することになりました。わずか1年の参戦期間でしたが、そのドラマチックな経緯と、潜在能力の高さを秘めながら散っていったチームの姿は、F1の歴史における一つのエピソードとして、記憶されています。

まとめ：モデナの短いF1物語

モデナは、資金難やチーム運営の混乱、そして結果的に不運が重なり、その短いF1の歴史に幕を閉じました。しかし、ランボルギーニとの繋がり、特徴的なマシン、そして若きドライバーたちの活躍は、多くのF1ファンに記憶されています。彼らの物語は、夢と現実、成功と挫折が交錯するF1世界の、儚くも美しい一面を私たちに教えてくれます。

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