モデルナンバー

モデルナンバーとは

モデルナンバーとは、メーカーが製品を区別するために付与する数列名のことを指します。多くの場合、製品のグレードや登場時期に応じて数値が増減しますが、その数値自体に量的な意味は必ずしもありません。しかし、AMDが2001年に導入したモデルナンバーは、CPUの性能を相対的に示すことを目的としており、従来の慣習とは異なるものでした。

モデルナンバー導入の背景

一般的に、CPUの性能はIPC（Instruction Per Cycle：1クロックあたりの命令実行数）と動作クロック周波数の積で決まります。当時、AMDはIPCの向上に注力していましたが、競合のインテルは動作クロック周波数の向上を重視していました。消費者の多くは動作クロック周波数がCPUの性能を表すと認識していましたが、実際には異なる種類のCPU間で動作クロック周波数を比較することはできませんでした。そのため、動作クロック周波数の低いAMD製品が正当に評価されないという問題が生じていました。そこでAMDは、Athlon 1.40GHzを基準とした相対的な性能指標としてモデルナンバーを導入しました。例えば、Athlon 1.40GHzを「1400+」としました。

モデルナンバーの問題点

モデルナンバーは性能を示すとされていますが、その数値は動作クロック周波数に比例しません。例えば、Athlon 1500+(1.33GHz)と1800+(1.53GHz)の数値差は20%であるにもかかわらず、動作クロック周波数の増加はわずか15%に過ぎません。また、当初は基準となるAthlon 1.40GHzとの比較資料が公開されていましたが、その後は公開されなくなり、個々のモデルナンバーの妥当性も説明されなくなりました。

さらに、AMDはモデルナンバー制度を異種間比較を目的として導入しましたが、実際には自社製品でも導入が見送られたり、同じ製品でも市場ごとに異なるモデルナンバーが付けられたりしました。また、性能が同等であると主張するCPUに同じモデルナンバーを付けたため、製品の区別が困難になるという問題も生じました。モデルナンバーの発表会で、AMDは暫定的な指標であるとし、2002年までにTPI（True Performance Index）という新たな指標を発表すると述べましたが、その計画は実現しませんでした。

モデルナンバー制の真の目的

モデルナンバー発表会では、AMDは自社製品と競合製品（例えば、Athlon XP 1800+とPentium 4 1.80GHz）の性能を比較し、ほぼ同等かわずかに優れていると発表しました。当初はモデルナンバーと対応するPentium 4の動作クロック周波数との比較に大きな偽りがなく、市場にもその認識が定着しました。公式価格表では、同じ性能のCPUには同じ価格が記載されていましたが、実際の販売価格は大幅にディスカウントされていたのが実情です。モデルナンバーの導入は、競合他社との比較で自社製品の不利にならないようにするための戦略だったとされています。

モデルナンバーの過去の失敗

モデルナンバーのような性能を示す指標は、過去に失敗した例があります。サイリックスはかつて「Pレーティング」という指標を導入しましたが、比較対象が曖昧であったり、都合の良い比較を行ったりしたため、消費者の信用を失い訴訟に発展しました。AMDもこのPレーティングに参加していましたが、訴訟と同時にパフォーマンスレーティング制を廃止すると発表しました。しかし、モデルナンバー制の導入は、この公約を破る形となりました。

モデルナンバーの普及と定着

モデルナンバーは、当初こそ疑問視されましたが、AMDのCPUと共に市場に受け入れられるようになりました。また、Intel製CPUとの性能競争が進み、動作クロック周波数だけがCPUの性能を示すものではないという認識が広まったことで、モデルナンバーはAMD製品内での性能の上下関係を表す指標として定着しました。

2007年以降は、Athlon 64 X2の後継としてPhenomやAthlon X2が登場し、モデルナンバーの付番方法が変更されました。そのため、それ以降のCPUではモデルナンバーはPentiumの動作クロックを基準とした性能を表すものではなくなりました。また、インテルも動作クロック周波数だけで製品を区別することが困難になり、プロセッサー・ナンバーという指標を導入しました。プロセッサー・ナンバーは、数値が大きいほど同じ製品群の中での性能が優れていることを示しますが、他社製品との比較には用いられません。

モデルナンバーの種類

モデルナンバーには様々な種類が存在します。

### のように、数字とアルファベットを組み合わせて表現されます。

外部リンク

日本エイ・エム・ディ株式会社

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