モデルニスモ

モデルニスモとは

モデルニスモ（Modernismo）は、スペイン語やポルトガル語で「モダニズム」を意味する言葉ですが、特にカタルーニャ地方で19世紀末から20世紀初頭にかけて隆盛した芸術様式を指します。フランスのアール・ヌーボーと共通する特徴を持ち、カタルーニャ版アール・ヌーボーと呼ばれることもあります。

時代背景と特徴

ヨーロッパでアール・ヌーボーが流行していた頃、スペインではカタルーニャ地方を中心に産業革命が進み、モデルニスモが花開きました。この背景には、ルネサンス文化への批判と、中世の繁栄を取り戻そうとする文芸復興運動「カタルーニャ・ラナシェンサ」の存在があります。

モデルニスモの特徴は、自然界の曲線や色彩を大胆に取り入れた点です。放物線や鍾乳洞の曲線、赤、青、緑、金といった鮮やかな色彩が、建築物や芸術作品に用いられました。また、華やかな装飾も重要な要素であり、独特の美しさを生み出しています。

モデルニスモの展開

モデルニスモは、単にアール・ヌーボーを模倣するのではなく、カタルーニャの民族主義的な伝統やイスラーム建築の研究を取り入れ、独自の発展を遂げました。特に建築分野では、伝統的なムデハル様式と融合し、革新的なデザインが生み出されました。

バルセロナには、モデルニスモ建築の傑作が数多く残されています。中でも、ガウディのサグラダ・ファミリアやカサ・ミラは、モデルニスモを代表する建築物として世界的に有名です。

モデルニスモの巨匠たち

モデルニスモを代表する芸術家には、以下の人物が挙げられます。

アントニ・ガウディ（1852-1926）：サグラダ・ファミリアをはじめ、数々の独創的な建築物を設計した、モデルニスモの巨匠。
リュイス・ドゥメナク・イ・ムンタネー（1849-1923）：ガウディの師であり、カタルーニャ音楽堂やサン・パウ病院などを設計した建築家。
ジュゼップ・プッチ・イ・カダファルク（1867-1956）：カサ・アマトリエなどの建築を手がけた建築家であり、政治家としても活躍。
ジュゼップ・マリア・ジュジョール：ガウディの協力者であり、独自の装飾スタイルを持つ芸術家。
ラモン・カザス：モデルニスモの時代を代表する画家。

不和のリンゴ

バルセロナのグラシア通りにある一角は、「不和のリンゴ」と呼ばれています。この場所には、モデルニスモの3人の巨匠、ドメネク、ガウディ、プーチの作品が隣り合って建っています。この通りは、モデルニスモ建築を鑑賞するのに最適な場所の一つです。


パトリョ邸：ガウディが改築をデザインした建物。骨をモチーフにした装飾が特徴。
レオ・モレラ邸：ドメネクがデザインした建物。繊細な彫刻が美しい。
カサ・アマトリエ：プーチが設計した建物。ゴシック様式を取り入れた独特なデザイン。

まとめ

モデルニスモは、カタルーニャ地方の文化的、経済的背景の中で生まれた、独創的な芸術様式です。アール・ヌーボーの影響を受けながらも、独自の発展を遂げ、建築、絵画、彫刻など、幅広い分野にわたって優れた作品を生み出しました。現在でも、バルセロナを中心にその影響を感じることができます。

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