モネル

モネルは、ニッケル（Ni）と銅（Cu）を主成分とする合金であり、その他に鉄、マンガン、硫黄などを含有しています。1906年にアメリカの技術者アンブローズ・モネルによって開発されました。その特徴は、非磁性または非磁性に近い性質を持ち、高い耐熱性と、硫酸、塩酸、有機酸に対する優れた耐食性を持つことです。

モネルの種類

モネルにはいくつかの種類があり、それぞれ組成や用途が異なります。

モネル400：ニッケル65%、銅33%、鉄2%を含む最も一般的なモネルです。
Rモネル（モネルR-405）：モネル400に硫黄を約0.04%添加した快削モネルで、切削加工性が向上しています。
Kモネル：ニッケル66%、銅29%、アルミニウム3%を含み、航空機用非磁性部品として利用されます。高い強度と非磁性を兼ね備えているのが特徴です。
Sモネル：ニッケル63%、銅30%、ケイ素4%を含み、主に鋳物用途に用いられます。
Hモネル：ニッケル63%、銅30%、ケイ素3%を含み、Sモネルと同様に鋳物用途で使用されます。

モネルの特性と用途

モネルは、高い引張強さ（120kg/mm²以上、硬さHB300以上）を持つため、航空宇宙分野の部品として利用されます。特に、耐食性が求められる環境下でその真価を発揮し、海水中、高温環境、蒸気中などの腐食環境で使用されるポンプのベーン、プロペラ、ばね材料、弁、復水器などの部品に用いられています。

また、優れた耐食性から、眼鏡フレームや楽器部材（トランペットのピストン内筒など）といった、日常生活に密着した製品にも使用されています。

モネルの課題

モネルはニッケルの含有量が多いため、材料費が高価になる傾向があります。また、難切削材であるため、加工コストも高くなりがちです。これらの要因から、モネルは高性能が求められる特定の用途に限定されることが多いです。

規格

モネルに関連する規格としては、以下のものがあります。

ISO 9723:1992：ニッケル及びニッケル合金棒に関する規格
JIS H 4553:1999：耐腐食性ニッケル合金に関する規格

関連項目

モネルについてより深く理解するために、以下の関連語句も参照ください。

合金
白銅
洋白

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