モノモタパ王国

モノモタパ王国について

モノモタパ王国（Monomotapa）、またはムタパ王国（Mutapa）は、かつてアフリカ大陸南東部に広がっていた国家で、現在のジンバブエ共和国およびモザンビーク共和国にあたる地域を支配していました。最盛期の16世紀中頃には、北はザンベジ川、南はサビ川、西はジンバブエ高原北西部のマニャメ川、東はインド洋まで及ぶ広大な支配領域を持っていましたが、一部の文献ではポルトガルによって誇張された表現も残されています。

名称の由来

「モノモタパ」という名称は、ポルトガル語に由来し、「征服した土地の王子」を意味する「Mwenemutapa」から音訳されたもので、王国を指す言葉として用いられるようになりました。他にも、ムニュムタパやムウェネムタパ、ベノモタパといった呼称も存在し、さまざまな文献に登場しています。

歴史的背景

モノモタパ王国の起源は15世紀前半に求められます。ショナ族のカランガ貴族が北方に進出し、金や放牧地を求めて支配者となりました。特にムトタという王子が始祖として伝承されていますが、彼の後を継いだマトペが国家を拡大し、インド洋沿岸地域まで支配を広げることに成功します。また、モノモタパ王国が他の王国と交戦した際、その支配域を強化したという口承の歴史は、考古学的な証拠とも一致しています。

ポルトガルが沿岸に進出した際には、モノモタパ王国は最大のショナ人国家とされていました。1515年には、ポルトガル人が主要都市を破壊、最終的にこの王国との通商関係を結ぶことになります。

ポルトガルとの関係

1525年、モノモタパ王国はソファラの占領を試み、さらにポルトガル人との通商によって、彼らの商業活動を認可した一方で、独自の徴税権を保持し続けました。しかし、1560年には宣教師の活動が国王とその家族を改宗させる一方、保守勢力は反発。1569年にはポルトガル軍が派遣され、紆余曲折の末、王国とポルトガルの関係が変化していきます。王国の軍事行動は次第に衰退し、ポルトガルに対する依存度が増加していきました。

社会と文化

モノモタパ王国は、中央集権的な国家というよりも、複数の首長国から成る連合体のような性質を持ち、内紛が多発していました。それでも国王の地位は神聖視されており、国王は宮廷内で様々な権力を持ち、専任の側近が彼の側で働いていました。王自身の健康が国の繁栄に結びつくと考えられ、怪我や病気は「王殺し」として話題にされることもありました。

モノモタパ王国の文化は、南部アフリカにおける石造建築の技術を踏襲し、特にグレート・ジンバブエ遺跡と同様の建築様式が残されています。しかし、17世紀に入るとヨーロッパ文化やキリスト教の影響が強まり、王族の中には海外で教育を受ける者も現れました。

経済

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王国の経済は交易と農業を基盤として成り立ち、採掘や農耕によって得られた富をもとに発展を遂げました。王の権力が直接市民の生活に影響を与える構造があり、交易都市が発展する中でさまざまな商人が行き交いました。やがて、ポルトガルとの貿易が重要な要素となり、象牙や金などが主要な商品として取引されるようになりました。

崩壊

しかし、17世紀末から18世紀にかけて王国は幸運には恵まれず、内紛、チャンガミレ王国の侵攻などにより次第にその勢力を失っていきました。1811年に、再び独立状態が保たれましたが、それも長続きすることはなく、数十年後に王国の実態は有力家門の連合体へと変わっていきました。

このように、モノモタパ王国は南アフリカの歴史において、一時的に重要な地位を占めながらも、外部の圧力や内部分裂によりその栄光が色あせていくことになりました。

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