モビルスーツバリエーション

モビルスーツバリエーション (MSV) について

モビルスーツバリエーション、通称MSVは、バンダイが展開するプラモデルシリーズおよびメカニックデザイン企画であり、1980年代中盤にテレビアニメ『機動戦士ガンダム』を基に発表されました。このプロジェクトでは、モビルスーツ（MS）の様々なバリエーションが設定されており、特に試作型や局地戦用、個人用のカスタマイズ機に焦点を当てています。

概要

MSVは当初、1983年から1984年にかけての期間に関連プラモデルを中心に展開されました。この企画は、講談社から出版された書籍『劇場版 機動戦士ガンダム アニメグラフブック』等、様々なメディアの影響を受け、特に「ザクバリエーション」として知られる新規デザインが影響力を持ちました。これによりアニメ未登場のオリジナルモビルスーツモデルが商品化されるなど、新たな市場が開かれました。

MSVに登場するモビルスーツは、主に一年戦争を舞台にさまざまな公式設定を取り入れ、新たなエピソードや設定が付与された結果、作品全体の深みが増しました。さらには、ファン層を再び呼び戻し、次世代の少年たちにも魅力的に映るようになります。

企画の発展

プラモデル市場の盛り上がりを受けて、MSVはその後も多くのバリエーションを生むきっかけとなりました。企画は、後続のアニメ作品においても採用される機体や設定が多く登場し、その影響は広範囲に及ぶこととなります。特に高機動型ザク（MS-06R）やエースパイロット設定などが人気を集め、時にはアニメキャラクターさえ超える人気を持つようになります。

誕生の背景

MSVの誕生には、フリーライターであり雑誌編集長の安井尚志の姿勢があったと言われています。彼は新しい設定を生み出すことに熱心で、特にアニメに出ない機体を魅力的に見せる手法をくみ取る力があります。このため、さまざまな種類のモビルスーツが新たに登場し、バンダイはこの波に乗る形でMSVとしての商品展開に成功しました。

初期のプロジェクトでは、大河原邦男氏がメカニックデザインを手掛け、コミックボンボン等においても様々な機体や設定が展開されました。安井の指導の下、当時の人気モデラーたちが協力し合い、独自のモビルスーツを形にする数々のプロジェクトが始まりました。

MSXの展開

この流れはさらに進化し、MSVの続編であるMS-Xが企画されます。これは「幻のモビルスーツ」的な立ち位置で、地球連邦軍の特殊部隊を描くストーリーの中に登場する新しい機体たちを開発する計画です。しかし、MSXはその後のアニメシリーズ『機動戦士Ζガンダム』の影に隠れ、発表された内容の多くがそのまま消費される立場に置かれることとなりました。

終焉とその後

最終的には、MSVシリーズは1984年末に完結を迎えましたが、影響は続き、その後の様々な作品においてMSVのコンセプトが再利用されることになります。ゲームや書籍、また新たなアニメでの機体デザインとして、MSVは多様に引用され、ファンに愛され続けていきました。特に、後に登場する新機体やバリエーションは必然的にMSVの項目を踏んでいるものが多く、年月を超えて影響を与え続けています。

このように、モビルスーツバリエーションは、ガンダムシリーズ全体の中で長期にわたって重要な役割を果たし、メカニックデザインのみならず、展開の仕方においても示唆に富んだシリーズであったと言えるでしょう。

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