モヘヤ

モヘヤ（モヘア）について

モヘヤは、主にアンゴラヤギの毛から作られる繊維で、その特徴的な光沢と柔らかさから、さまざまな衣類や家庭用品に広く使われています。「モヘヤ」という名称はアラビア語の「選ぶ」に由来し、同じくアンゴラという名前が付けられているアンゴラうさぎの毛と区別されています。

モヘヤの特徴

モヘヤは、カシミアや羊毛と比べても非常に優れた光沢を持っており、その輝きは魅力的です。繊維の直径は11から90μmと幅広く、一般的にはホワイト色が主流です。また、モヘヤの繊維形状はステープルで、ウェーブがないのが特徴です。これにより、他の自然繊維とは異なる独自のテクスチャーと感触を楽しむことができます。

毛足が長いことから通気性にも優れ、繊維のコシも強いという利点がありますが、反面、抜け毛が多く、静電気が発生しやすいという欠点もあります。これらの特性は、モヘヤを使用した製品のデザインに影響を与えています。

用途と製品

モヘヤは多彩な用途があり、スーツ、コート、ショール、マフラーなどの衣料品に使われています。また、カーペットやセーター、さらには毛布といった家庭用品にも利用されています。興味深いことに、阪急電鉄では車両の座席にモヘヤが使われており、神戸電鉄でも同様の事例が見られます。

産地と品質

モヘヤの主要な生産地はトルコ、南アメリカ、アメリカのテキサス州です。特に南アメリカで生産されるモヘヤは最高級とされており、トルコでは年に一度しか毛刈りを行わないため、長くて質の高い繊維が得られています。

モヘヤに関する法規制

「モヘア」という表記も可能ですが、日本の「家庭用品品質表示法」においては「モヘヤ」と記載されることが指定されています。これによって、消費者が製品を選ぶ際の助けとなっています。

使用中止の動き

近年、モヘヤに対する使用中止の動きが見られます。2018年、動物愛護団体PETAが南アフリカの12の牧場でモヘヤを採取する際の虐待が発覚し、これを受けてH&Mやザラ、ギャップなどの企業がモヘヤ製品の販売を中止することを決定しました。ユニクロも2020年までに同様の措置を取ることを表明しています。

これらの取り組みは、消費者の意識の高まりと動物福祉への配慮の一環として捉えられています。モヘヤは高級感あふれる素材ですが、その背景にある生産過程についても考慮が必要な時代となっています。

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