モヨウウチキトラザメ

モヨウウチキトラザメについて

モヨウウチキトラザメ（学名：Haploblepharus edwardsii）は、ヘラザメ科に所属する南アフリカ沿岸に生息するサメの一種です。このサメは主に温帯域の砂地や岩礁で見られ、一般的に最大で約60cm程度に達します。体型は細長く、背面には目を引く明るい橙色の鞍状模様が付いており、全体には無数の白色の斑点があります。

この種は、ロアルハのモヨウウチキトラザメ属に独特の行動特性を持つことが知られており、外敵に対しては体を丸めて尾で頭を覆う姿勢を取ります。主な餌は甲殻類や多毛類、硬骨魚などで、徐々に狩りの名手として知られるようになっています。モヨウウチキトラザメは無害な種類であり、人に対する攻撃性は皆無で、漁業関係者にとっては商業的な価値はほとんどありませんが、その保全状況はIUCNによって絶滅危惧に分類されています。

進化と分類

モヨウウチキトラザメは、1760年にイギリスの博物学者ジョージ・エドワーズによって最初に記載され、その後1817年にはフランスの動物学者による新しい名称が与えられるなど、複数の名前がつけられました。正式な学名が決まる過程で様々な研究が行われ、2001年には新たな解釈がされました。2006年には分子系統解析が行われ、本種がウチキトラザメ属内で最も基底的な種であることが示されました。

また、この種には環境や形態の差から「Cape型」と「Natal型」の2つのバリエーションがありましたが、後者は新種として独立した認識を持たれるようになりました。「ぺけぺけウチキトラザメ」という英名は、体色が類似しているアフリカのヘビに由来し、また「Happy Eddie」という愛称はその学名に派生したものです。

特徴と生態

モヨウウチキトラザメの形態的な特徴として、体が細長く頭部は幅広く、吻が丸いことが挙げられます。大きな眼と猫のようなスリット状の瞳孔を持ち、特に鼻孔は大きく、三角形の前鼻弁があり、特徴的な外観を形成しています。また、鰓裂は5対あり、背鰭は体の後方に位置し、尾鰭は短く幅広いです。皮膚は丈夫で、独特な模様と質感を持ち、成長の過程でその形態は興味深い変化を見せます。

分布域は南アフリカの大陸棚に限定されており、西ケープ州のLangebaanからアルゴア湾の西岸までの範囲でしか見られません。底生性で、大抵は砂地や岩礁に生息しており、北東へ行くにつれて生息深度が深くなる傾向があります。この種は通常、比較的ゆっくりとした動きで海底に横たわっていることが多く、臆病な性格を持っています。

繁殖と生活史

モヨウウチキトラザメは卵生で、年間を通じて繁殖を行います。雌は一度に1から2個の卵を産み、ウミウチワなどの構造物に付着させることが特徴です。卵は約3ヶ月で孵化し、性成熟にはおおよそ7年がかかるとされ、成体のサイズは35〜55cmとなることが知られています。やがて成熟すると、その寿命は最低でも22年に達すると考えられています。

人との関わり

この種は人には無害で捕獲もしやすいものの、小型であるため商業漁業の対象とはなりません。しかし、両生類の捕り方や混獲によって廃棄されることが少なくありません。観賞魚として乱獲が行われている地域もあり、その状況によりIUCNの保全状況は準絶滅危惧に指定されています。しかし、実際には分布域では豊富に存在しているため、適切な管理が求められます。南アフリカのアクアワールド大洗では観ることができ、繁殖にも成功した実績があります。

もう一度検索