モリアザミ

モリアザミ（森薊）

モリアザミ（学名: Cirsium dipsacolepis）は、キク科アザミ属に属する多年生の草本植物です。この植物は、別名としてゴボウアザミやヤブアザミ、また地域に応じてヤマゴボウ、キクゴボウなどとも呼ばれています。日本では本州、四国、九州の広範囲に分布しており、日当たりの良い山地や草原でよく見られます。

分布と生育環境

モリアザミは主に日本の内陸部に分布し、乾燥した草原や野原で特によく育ちます。これらの環境は、植物の直立した茎と、しっかりとした根の発育を助ける条件を提供します。特に日光を好むため、日当たりの良い場所で育つ傾向があります。

植物の特徴

モリアザミの茎はまっすぐに立ち上がり、高さは約1メートルに達します。茎は分岐しながら成長し、葉は羽状で中裂もしくは深裂しています。この葉の縁には鋭いとげが見られ、触れると痛みを感じることがあります。

花期は秋、特に9月から10月にかけてで、茎の先端には上向きに3つほどの花が集まっています。これらの花は無数の筒状花から成る頭花（頭状花序）で、色は美しい紅紫色です。また、頭花の基部には特徴的に長いとげ状の総苞片がついており、これもこの植物の特長の一つです。花期には根元の葉は枯れてしまうため、花が咲いている時期には葉の姿は見られません。

根はとても太く、直径が約2センチメートルに達し、下向きにまっすぐ成長します。モリアザミの根は栄養価が高く、菊ごぼうとして食材としても人気があります。

食用としての利用

モリアザミはその根を秋に掘り採り、食物として利用されます。特に東北地方では9月から11月、関東以西では9月から12月が採取のピークとなります。採取された根は、適度な大きさに切った後、茹でて水にさらします。この加工によって苦味が抜け、煮物やきんぴら、天ぷらなどとして美味しく食べられます。また味噌漬けや醤油漬けにすると、さらに風味豊かな一品になります。観光地では、山牛蒡（やまごぼう）という名称で販売されることもあります。

ただし、モリアザミという名称のヤマゴボウは、有毒なヤマゴボウ科の植物とはまったく異なります。このため、誤って食べないよう注意が必要です。

参考文献

関連書籍には、以下のようなものがあります。

• - 高野昭人監修『おいしく食べる 山菜・野草』世界文化社
• - 高橋秀男監修『日本の山菜』学習研究社

これらの文献では、さらに多くの情報が得られます。モリアザミは多彩な利用法があり、特に秋の風物詩として食卓に登場することが多い植物です。

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