モリカミ博物館

モリカミ博物館・日本庭園について

モリカミ博物館・日本庭園は、アメリカ合衆国フロリダ州パームビーチ郡デルレイビーチ市のモリカミ・パーク内に位置する、博物館、美術館、そして日本庭園が一体となった複合施設です。この地は、日系移民の歴史と日本文化を色濃く残しており、その名は、この地をパームビーチ郡に寄贈したジョージ・モリカミ（日本名：森上助次）に由来します。

施設の概要

広大な敷地内には、約2.8ヘクタールのモリカミ池を中心に、博物館の本館と旧館、そして広大な日本庭園「Roji-en」が広がっています。庭園内には盆栽ガーデンもあり、日本の美意識が随所に感じられます。年間を通じて様々な日本文化に関するイベントが開催され、特に1月のお正月、2月の初芽祭、8月の盆は、地元の人々にも親しまれています。

博物館の展示と活動

博物館では、日本の文化に関する展示のほか、盆栽、生け花、茶道、日本語などの講座が開かれており、子供向けの日本文化体験プログラムも提供されています。本館には展示室の他に、劇場、図書室、教室、ミュージアムショップ、カフェレストランなどがあり、来館者が様々な形で日本文化に触れられるようになっています。

旧館である「大和館」は、かつてこの地に存在した日系移民コミュニティ「ヤマト・コロニー」の歴史を紹介しており、南フロリダの日系人コミュニティの歩みを学ぶことができます。

日本庭園「Roji-en」

日本庭園「Roji-en」は、約6.5ヘクタールの広さを誇り、「露時園」とも漢字表記されることがあります。この庭園は、造営時期によって二つの時期に分けられます。

第一期庭園

1977年に大和館の建設と同時に整備された第一期庭園は、モリカミ池を中心に石灯籠やつくばいなどが配置され、池の周りを散策できるように整備されています。特に注目すべきは、1681年に徳川家綱が江戸の東照宮に寄進したとされる石灯籠で、様々な経緯を経てこの庭園に寄贈されたという歴史を持っています。

第二期庭園

2001年に公開された第二期庭園は、庭園デザイナーの栗栖宝一氏によって設計されました。この庭園は、平安時代から近代に至るまでの日本の庭園史を辿れるように、寝殿庭園、浄土庭園、初期石庭、石庭、平庭、近代庭園という、6つの異なるスタイルの庭園が配置されています。また、庭園内には茶室「Seishin-an」があり、茶会も開催されています。

歴史的背景

モリカミ博物館・日本庭園は、単なる観光施設ではなく、日系移民の歴史と深く結びついた場所です。1904年にボカラトンに開設されたヤマト・コロニーは、フロリダにおける最初の日系移民の入植地でした。森上助次（ジョージ・モリカミ）もその一人で、彼は農園労働者として働きながら、後に農産物卸売業で成功を収めました。彼は私財を投じて土地を買い増し、その土地を地域に寄贈したことが、この施設が建設されるきっかけとなりました。

モリカミの遺志

モリカミは、自身の土地を公園として整備し、ヤマト・コロニーの記憶を後世に残したいと願っていました。その遺志を受けて、パームビーチ郡は大和館とモリカミ・パークを整備し、1977年に公開しました。博物館開設時には、モリカミの出身地である京都府宮津市と姉妹都市提携を結び、文化交流も行われています。

その他の施設

モリカミ・パーク内には、モリカミ博物館・日本庭園の他に、アメリカ蘭協会のビジターセンター・植物園があります。また、隣接する琵琶湖パビリオンは、ピクニックを楽しむためのスペースとして利用されています。庭園内には、ヤマト・コロニーの開拓者である酒井襄（醸）とその支援者である沖光三郎の墓碑があり、チャレンジャー号爆発事故で犠牲になった宇宙飛行士たちを追悼するモニュメントもあります。

モリカミ博物館・日本庭園は、その美しい景観と日本文化への深い理解を通じて、来訪者に感動と学びを提供しています。フロリダを訪れる際には、ぜひ一度足を運んでいただきたい場所です。

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