モリノリ久

モリノリ久（もり のりひさ）は、日本の男性声優であり、舞台俳優としても多方面で活躍している表現者です。本名および2020年1月22日の改名前までは森訓久として活動していました。1972年10月10日、愛知県豊川市に生まれます。

幼い頃からアニメや漫画の世界に魅了され、特にヒーローものやロボットアニメに夢中になる少年時代を過ごしました。声優という職業への関心は、高校生の頃にテレビアニメ『天空戦記シュラト』のドラマCDを聴いたことから芽生えたといいます。「こんなにも楽しそうにできる仕事があるのか」という感動が、声優への道を歩む決意を固めさせたのです。地元の豊川市立千両小学校、豊川市立東部中学校を経て、愛知県立小坂井高等学校を卒業後、声優の専門教育を受けるため代々木アニメーション学院声優科に進学しました。

専門学校卒業後、キャリアのスタートはアークプロダクションから始まりました。その後、TABプロダクションに籍を置いた時期もありますが、この頃はプロフィール預かりという形で実質的にフリーランスに近い活動だったといいます。長らく賢プロダクションに所属し、多くの作品で活躍しましたが、2019年7月31日をもって同事務所を退所。現在は再びフリーランスとして活動の幅を広げています。改名については、2020年の特定の縁起の良い日を選んで行われたことを自身のTwitterで発表しています。

プライベートでは非常に多趣味な人物として知られています。特にサッカーに対する情熱は深く、かつてはトレーディングカードアーケードゲーム『WCCF』に熱中した経験も持ちます。また、文化放送のラジオ番組『吉野裕行の超ラジ!』内で毎年行われる『ウイニングイレブン』大会には、3回連続で参加した実績もあります。サッカー以外にも、野球、モルック、パデルといった様々なスポーツに親しんでいるほか、地元である愛知県の三河弁を特技としています。声優仲間である宮下栄治、増川洋一、勝杏里と共に、かないみかのプロデュースによる声優ユニット「Revolver」を結成していた時期もあり、音楽活動も経験しています（同ユニットは2006年12月23日に活動休止）。

これまでのキャリアを通じて、モリノリ久氏は数多くのアニメ作品に声を提供してきました。特に、長寿人気シリーズへの出演が多く見られます。『こちら葛飾区亀有公園前派出所』では1996年から2002年にかけて様々なキャラクターを演じ分け、『それいけ!アンパンマン』には1996年から2024年に至るまで、長年にわたり出演を続けています。『おじゃる丸』でも1998年の開始当初から川上さんなどを担当しています。また、『テニスの王子様』シリーズでは荒井将史や柳沢慎也、『HUNTER×HUNTER』ではスクワラなどのキャラクターに声を吹き込んでいます。その他にも、『デ・ジ・キャラット』シリーズの喜美や、『メジャー』シリーズの田代など、印象深い役柄を演じてきました。脇を固めるキャラクターからメインキャストまで、幅広い役柄に対応する演技力が持ち味です。

声優としての活動に加え、舞台俳優としても積極的に活動を行っています。特に演劇集団イヌッコロの主要メンバーとして、旗揚げ公演から多くの作品に出演しており、その表現の場を広げています。また、観客の選択によって物語が分岐する「人狼 ザ・ライブプレイングシアター」にも複数回出演し、即興劇での演技力も披露しています。さらに、演劇集団イヌッコロの一部の公演では舞台演出も手掛けており、演出家としての才能も発揮しています。アニメやゲーム、特撮（スーパー戦隊シリーズ、仮面ライダーシリーズなど）への出演、CDドラマやラジオ、さらにはミュージカル出演など、その活動範囲は非常に多岐にわたります。雑誌付録のコンテンツやWeb動画への出演もあり、様々なメディアでその声と姿を見せています。

モリノリ久氏は、幼い頃からのアニメ・漫画愛を原点に、声優として確固たるキャリアを築き上げる一方、舞台という生身の表現の場でも才能を発揮しています。多趣味で親しみやすい人物像に加え、長年にわたり多くの作品に貢献し続ける、日本のエンターテインメント界において欠かせない存在です。

もう一度検索