モルディブ国防軍

モルディブ国防軍（MNDF）

モルディブ国防軍（Maldives National Defence Force, MNDF）は、インド洋に浮かぶ島国、モルディブ共和国の軍隊です。地理的な特性から、海洋 सुरक्षाを重視した組織となっています。

歴史

モルディブにおける軍事組織の起源は、島々に人々が定住し始めた時代に遡ります。1573年には、ムハンマド・タクルファーヌ・アル＝アウザムの指揮下で、ポルトガル占領軍を撃退した抵抗軍が存在しました。しかし、近代的な軍隊としての基礎が築かれたのは、1892年、イギリス領モルディブ時代のことです。

1932年、最初の憲法制定と選挙君主制への移行に伴い、軍政部門として平和・安全保障室が設置されました。1968年の共和制移行後は、公安省へと改称され、1973年には国家保安隊本部へと再編されました。1940年代からは警察機能も兼務し、一部隊員が捜査室に配属され警察任務に当たっていました。

1979年1月10日、部隊名は国家保安庁（NSS）に変更されました。1980年代のNSSは、政府が保有する唯一の武力組織であり、準軍事組織としての性格が強くありました。しかし、1988年に発生した外患誘致事件を契機に、軍隊としての性格を強めるため、大規模な増強と改編が行われました。

2004年には、警察機能が分離され、文民警察であるモルディブ警察サービスが創設されました。そして2006年4月21日、近代軍としての創設114周年にあたる記念日に、国家保安隊は国防軍（MNDF）へと改称されました。

編制

MNDFは、以下の主要な軍種で構成されています。

沿岸警備隊 (Coast Guard)
海兵隊 (Marine Corps)
* 後方支援隊 (Service Corps)

作戦面においては、参謀長の補佐のもと、4つの地域別部隊が配置された統合運用体制を採用しています。地域別部隊に加え、特殊部隊と工兵部隊が戦略級部隊として存在し、特殊部隊は最高司令官、工兵部隊は参謀長の直轄指揮下にあります。

沿岸警備隊

海洋国家であるモルディブにとって、海洋安全保障は最重要課題の一つであり、MNDFにおいて沿岸警備隊がその任務を担っています。1976年、ガン島に所在していたイギリス空軍基地から、標的曳航艇や港内艇、上陸用舟艇の譲渡を受け、近代海軍としての第一歩を踏み出しました。

沿岸警備隊の運用艇は、25メートル級の小型艇が中心でしたが、2004年のスマトラ島沖地震による津波を教訓に、外洋での救難活動能力の欠如が課題として浮上しました。2006年4月、インド海軍からトリンカット級哨戒艇1隻が供与され、「フラヴィ」として就役しました。また、スリランカのコロンボ造船所に35メートル級哨戒艇1隻を発注し、2008年に「シャヒード・アリ」として就役しました。

MNDFは、モルディブの平和と安全を守るため、日々活動を続けています。

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