選挙君主制

選挙君主制とは

選挙君主制（せんきょくんしゅせい）は、君主が世襲ではなく選挙を通じて選ばれる政治体制を指します。これは歴史上、ヨーロッパの王国からアフリカの部族国家に至るまで、幅広く見られます。選挙の方法や権利の範囲は国や時代によって様々であり、選挙君主制から世襲君主制へと厳密に移行した事例も多いのですが、公式には選挙君主制を持ち続ける国も存在しています。

歴史的な背景

選挙君主制と共和制の違いはあいまいなことが多く、特に多くの共産主義国やイスラム共和国でのリーダーの選出方法は、選挙君主制に非常に似ていますが、これらは社会主義思想の影響により共和制とされることがあります。一方、バチカン市国やアンドラ公国は、歴史的に西欧の王室と同等と見なされるため、慣習的に選挙君主制として規定されています。

現代における選挙君主制

選挙君主制の現代の事例としては、以下の国々があります。

アラブ首長国連邦

この国は7つの首長国からなる連邦で、大統領と副大統領は首長の中から選出される仕組みですが、実際にはアブダビのナヒヤーン家が大統領職を独占しています。

カンボジア

カンボジアでは、ノロドム家とシソワット家のメンバーが王室評議会を構成し、立法府の正副議長及び首相もこれに参加し、終身の国王を選出します。

クウェート

この国では、ジャービル家とサーリム家が交代で首長を選出しますが、近年はジャービル家に固定化しています。

サモア

共和制ですが、議会が4大首長家から5年任期の国家元首を選出します。

マレーシア

マレーシアの国王は9人のスルターンの互選によって選ばれ、各スルターンは輪番で国王としての役割を担います。

その他の例

選挙君主制に似た体制を持つ国では、バチカン市国でローマ教皇が選出されるコンクラーヴェや、デンマークやスペインなどの国々議会が国王を選出する仕組みがあります。

選挙君主制を採った現存しない国々

歴史的には選挙君主制を採っていた国にも多くの例があります。例えば、古代ローマやモンゴル帝国では、代表者が市民や部族から選出される仕組みがありました。また、ハプスブルク君主国やポーランド・リトアニア共和国でも選挙に基づく体制が存在しましたが、いずれも後に王権の強化や世襲君主制へと移行していったのです。これらの国々の例は、選挙君主制の多様性とその後の歴史的変遷を示しています。

選挙君主制は、君主制における権力の分配や国民の意見反映の機会を提供する一方、時に内部の権力闘争や外交問題を引き起こす要因ともなり得ます。

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