モンガラカワハギ科について
モンガラカワハギ科(
学名:Balistidae)は、
フグ目に属する多様な
海水魚の分類群です。この科には少なくとも11の属が含まれ、約40種類の魚が確認されています。モンガラカワハギやタスキモンガラなど、主に熱帯の
サンゴ礁に生息することで知られています。
分布と生態
モンガラカワハギ科に属する
魚類はすべて
海水魚であり、
太平洋、
インド洋、
大西洋など、世界の温暖な海に広がっています。これらの魚のほとんどは沿岸部の浅い水域で生活し、特に
サンゴ礁域で見られることが一般的です。多くの種が鮮やかな色彩を持ち、
水族館などで観賞用に飼育されていることが多いですが、食用としても利用される種が存在します。
泳ぎ方に関しては、通常は第2背鰭と臀鰭を使って波のようにゆっくりと泳ぎますが、捕食や回避行動を行う際には尾部を使用して急加速します。一般的に
昼行性であり、硬い殻を持つ貝類や棘皮
動物など、多種多様な無脊椎
動物を捕食します。モンガラカワハギ科の魚は、獲物を噛み砕くのに適した形状の
歯を持ちますが、ナメモンガラ属に見られるように、
藻類や
動物プランクトンを主に摂取する種類も存在します。
繁殖行動
この科に属する魚の多くは、卵を保護する行動を持っています。砂底にすり鉢状の巣を作り、一度の繁殖で約10万個の沈性卵を産みます。卵が
孵化するまでの約1日間、親魚は巣を外敵から守りつつ、卵に新鮮な海水を送り込むなどの世話を行います。この時、親魚は非常に攻撃的で、近づく人間に襲いかかることもあります。
モンガラカワハギ科の繁殖行動は、カワハギ科の魚と似ている点があります。カワハギ類は産卵数が少ない(約2万個)ため、
孵化までにかかる時間も長くなります。モンガラカワハギ科の魚の特徴である産卵数の多さと早い
孵化は、より原始的な
魚類グループであるギマ科から
進化したものと考えられています。
形態的特徴
モンガラカワハギ科の魚は、左右に平たく、体高が高い卵型の形状を持っています。この科の特徴として、上顎を突き出すことができず、両側の眼球を独立して回転させることが可能です。前上顎骨にはそれぞれ外側に4枚、内側に3枚の
歯があり、近縁のカワハギ科よりも多くの
歯を持ちます。背鰭の棘条は3本であり、これはカワハギ科との明確な鑑別点となります。背鰭の第1棘条を固定することで、第2棘条が連動し、銃の引き金のような機構が見られることから、英名「triggerfish」の由来となっています。
腹鰭を支える腰骨は癒合して1本の棒状となり、その後端は特殊な
鱗に覆われています。全ての軟条は分枝しており、尾鰭の主鰭条は12本存在します。
鱗は板状で硬く、
椎骨は18個あります。
分類
モンガラカワハギ科は、Nelson(2016)の体系において11属42種が認められています。以前はカワハギ類と一緒に亜科として扱われていましたが、現在は各々独立した科として分類されるようになりました。以下は、FishBaseに記載されているモンガラカワハギ科の主な属と種のリストです。
- アカモンガラ Odonus niger
- アミモンガラ Canthidermis maculata
- ボウズモンガラ Canthidermis macrolepis
- Canthidermis sufflamen
- イトヒキオキハギ Abalistes filamentosus
- オキハギ Abalistes stellatus
- Abalistes stellaris
- - キヘリモンガラ属 Pseudobalistes
- イソモンガラ Pseudobalistes fuscus
- キヘリモンガラ Pseudobalistes flavimarginatus
- Pseudobalistes naufragium
- クマドリ Balistapus undulatus
- クロモンガラ Melichthys vidua
- ソロイモンガラ Melichthys niger
- Melichthys indicus
- アオスジモンガラ Xanthichthys caeruleolineatus
- スジナメモンガラ Xanthichthys lineopunctatus
- ナメモンガラ Xanthichthys mento
- ホシモンガラ Xanthichthys auromarginatus
- Xanthichthys lima
- Xanthichthys ringens
- クラカケモンガラ Rhinecanthus verrucosus
- ソコモンガラ Rhinecanthus abyssus
- タスキモンガラ Rhinecanthus rectangulus
- ムラサメモンガラ Rhinecanthus aculeatus
- Rhinecanthus assasi
- Rhinecanthus cinereus
- Rhinecanthus lunula
- ツマジロモンガラ Sufflamen chrysopterum
- ムスメハギ Sufflamen bursa
- メガネハギ Sufflamen fraenatum
- Sufflamen albicaudatum
- Sufflamen verres
-
ゴマモンガラ Balistoides viridescens
- モンガラカワハギ Balistoides conspicillum
- ネズミモンガラ Balistes capriscus
- Balistes ellioti
- Balistes polylepis
- Balistes punctatus
- Balistes rotundatus
- ケショウモンガラ Balistes vetula
- Balistes willughbeii
- ツバサモンガラ Xenobalistes tumidipectoris
- Xenobalistes punctatus
モンガラカワハギ科の
魚類は、その美しい姿と興味深い生態で、多くの人々に親しまれています。