モンテカルロ音楽達人杯

モンテカルロ音楽達人杯（Monte Carlo Music Masters）は、モナコ公国で1989年に始まった、非常にユニークな音楽コンクールでした。最大の特徴は、既に他の主要国際音楽コンクールで単独最高位を獲得した「達人」たちだけが出場できる点です。世界のトップが集うその厳しさから「世界一過酷」と称され、日本からは山口研生氏や神尾真由子氏など国際的な名手が優勝しています。ピアニストのアルベルト・ノゼ氏をはじめ、著名な音楽家を輩出しました。

開催期間は比較的長く、音楽界における独自の地位を確立していました。部門はピアノ、ヴァイオリン、声楽の三つがあり、開催年や部門によって「モンテカルロピアノマスターズ」のように名称を変えていました。ピアノ部門決勝は2名対決形式。高い評価を得て、2006年からはAAFの助成もありました。

以下に過去の主な優勝者を示します。原則優勝者のみ表彰されました。回によっては準優勝者も表彰されたことがあります。括弧内は以前に単独最高位を獲得した主なコンクールです。

ピアノ部門優勝者

2023年 アリスト・シャム（アレッサンドロ・カーサグランデ国際ピアノコンクール第一位）
2021年 ニコライ・クズネツォフ（リカルド・ビニェス国際ピアノコンクール第一位）
2018年 アレクサンダー・ガジェヴ（浜松国際ピアノコンクール第一位）
2015年 アルベルト・ノゼ（サンタンデール国際ピアノコンクール第一位）
2012年 ミロスラフ・クルティシェフ（チャイコフスキー国際コンクール ピアノ部門第二位 第一位空位）
2009年 セルゲイ・タラソフ（シドニー国際ピアノコンクール第一位）
2006年 Vladimir SVERDLOV（セニガリア国際ピアノコンクール第一位）
2003年 Roustem SAITKOULOV（The Rome Piano Competition第一位）
2001年 Rem URASIN（The Young Pianists’ Chopin Competition in Moscow organized by the Chopin Society第一位）
2000年 山口研生（第28回セニガリア国際ピアノコンクール第一位）
1999年 Maurizio BAGLINI
1996年 Giovanni BELLUCCI（第45回プラハの春国際音楽コンクール第一位）
1994年 Ludmil ANGELOV
1993年 Natalia TRULL（ベオグラード国際ピアノコンクール第一位）
1992年 Vardan MAMIKONIAN（Balis Dvarionas Piano Competition in Vilnius第一位）

ヴァイオリン部門優勝者

2016年 Elli CHOI
2013年 Nikita BORISO-GLEBSKY
2010年 Graf MOURJA
2007年 Fanny CLAMAGIRAND
2004年 神尾真由子（ヤング・コンサート・アーティスツ国際オーディション第一位）

声楽部門優勝者

2022年 Ekatarina SANNIKOVA
2017年 Gil BYEONG-MIN
2014年 Junhoom KIM
2011年 Roman BURDENKO
2008年 Mikhail KOLELISHVILI
2005年 Adina AARON
2002年 Yikun CHUNG
1997年 Marie DEVELLEREAU

しかし、このコンクールは現在、活動を停止しています。公式サイトが2024年初頭に閉鎖され、同年5月現在、今後の開催情報はありません。事実上、無期限休止または終了の状態にあると考えられています。

モンテカルロ音楽達人杯は、その独自のコンセプトと高い水準で音楽界に特別な存在感を示しました。その歴史は中断していますが、ここから輩出された優れた音楽家たちの功績は音楽史に刻まれるべきでしょう。

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