神尾真由子

神尾 真由子

大阪府豊中市に生まれた神尾真由子は、日本のクラシック音楽界を代表するヴァイオリニストの一人です。その類稀なる才能は幼少期から開花し、国際的な舞台へとその活動の場を広げてきました。

音楽の道へ

1986年6月12日に誕生した神尾真由子は、4歳でヴァイオリンと出会い、音楽の道を歩み始めました。里屋智佳子氏、小栗まち絵氏、工藤千博氏、蓮江久美子氏といった国内の指導者に師事し、着実に技術を磨きます。10歳を迎える前の1997年3月には、早くもソリストとしてオーチャードホールの舞台に立ちました。シャルル・デュトワ氏率いるスーパーサウンド・オーケストラとの共演でラロの『スペイン交響曲』第5楽章を演奏し、その才能を広く知らしめました。

海外での研鑽と名器との出会い

さらなる飛躍を目指し、2000年にはアメリカ・ニューヨークへと留学します。アスペン音楽祭やジュリアード音楽院プレカレッジで、ヴァイオリン教育界の巨匠ドロシー・ディレイ氏や川崎雅夫氏に学び、国際的な視野と技術を深めました。この留学期間中の2001年8月からは、サントリーアホールより1727年製作のストラディヴァリウスを貸与され、その美しい響きと共に音楽表現を追求する日々が始まりました。この楽器は約10年間にわたり、彼女の演奏活動を支えるパートナーとなります。

2002年4月には日本に戻り、桐朋女子高等学校に初の特待生として入学。原田幸一郎氏に師事し、国内での学びも深めました。

国際舞台での栄光

神尾真由子のキャリアにおいて、数々の国際コンクールでの成功は特筆すべきものです。早くもジュニア部門での入賞を果たし、ヤング・コンサート・アーティスツ国際オーディション優勝（2000年）、モンテカルロ音楽達人杯優勝（2004年）、ダヴィッド・オイストラフ国際ヴァイオリン・コンクール第1位（2004年）など、輝かしい実績を積み重ねていきました。

中でも2007年、ロシアで開催された第13回チャイコフスキー国際コンクールヴァイオリン部門での第1位獲得は、彼女の名を世界に轟かせる決定的な出来事となりました。この優勝により、彼女は世界のトップヴァイオリニストとしての地位を確立しました。

その他の主な受賞歴：

1996年 - 第50回全日本学生音楽コンクール全国大会ヴァイオリン部門小学校の部第1位
1998年 - ユーディ・メニューイン国際コンクール・ジュニア部門最年少入賞
2002年 - アリオン賞
2003年 - 第13回出光音楽賞
* 2006年 - 第5回モントリオール国際音楽コンクール第5位

広がる活動と新たな楽器

チャイコフスキー国際コンクール優勝後、神尾真由子の演奏活動はさらに活発化しました。2008年にはSony BMG Masterworksと専属録音契約を結び、数多くのアルバムをリリース。アスペンのマネージメントのもと、世界各地で演奏を披露しています。

使用する楽器も変遷があり、約10年使用したサントリー貸与のストラディヴァリウス返却後、2012年からは米国・ストラディバリ・ソサエティーより1735年製グァルネリ・デル・ジェスの貸与を受け、その力強い響きで聴衆を魅了しました。そして2017年5月からは、宗次コレクションより1731年製ストラディヴァリウス「ルビノフ」の貸与を受けています。これらの名器たちは、彼女の豊かな音楽表現を支える重要な存在です。

人生の転機と教育活動

私生活では、2013年7月8日にロシア人ピアニストのミロスラフ・クルティシェフ氏と結婚し、2015年3月には第一子を出産するなど、母としての顔も持っています。

キャリアの面では、2011年に拠点をニューヨークへ移していましたが、2019年4月には所属事務所をKAJIMOTOへ移籍すると同時に、東京音楽大学の教授に就任するため日本へ拠点を戻しました。現在は教育者としても後進の指導にあたっており、日本の音楽界への貢献も深めています。演奏家、母、そして教育者として、神尾真由子は多角的にその才能を発揮し続けています。

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