モンテ・ディ・ピエタ

モンテ・ディ・ピエタの概要

モンテ・ディ・ピエタ（Monte di Pietà）は、イタリアで始まった公営の質屋で、低金利での貸出を通じて貧しい人々を支援することを目的としています。この制度は、15世紀後半の中世イタリアで誕生し、その理念はカトリックの慈善事業として取り入れられ、他のカトリック地域にも広がりました。

歴史的背景

モンテ・ディ・ピエタの設立背景には、旧約聖書や新約聖書における金銭の貸し出しに関する教義が深く関与しています。旧約聖書では利子や担保の取り扱いに厳しい制約があり、新約聖書でも利子の徴収が禁じられています。中世のカトリック教会も、この流れを受けて利子を取ることを禁止した結果、キリスト教徒が金貸しとしての業務から撤退することになりました。その空白を埋める形でユダヤ人が高利で金貸し業を行い、年利が20%から40%に達することから、一般市民からの恨みを買うようになりました。

モンテ・ディ・ピエタの設立

こうした背景から貧しい人々をユダヤ人金貸しから守るために、モンテ・ディ・ピエタが設立されることになりました。フランシスコ会の修道士バルナバ・ダ・テルニが1461年に最初の機関をペルージャで設立し、それ以降、ベルナルディーノ・ダ・フェルトレの運動によって広く展開されることになりました。彼は1484年にマントヴァで新たに設立し、多くの地方でこの制度を促進しました。

「モンテ」とは「山」を意味し、比喩的に集められた資金を示します。敬虔な行為（ピエタ）に積み上げられた資金が「モンテ・ディ・ピエタ」と名付けられ、これらの資金は市民からの寄付によって成り立っています。モンテ・ディ・ピエタは低金利での貸出を行いますが、それでも利子を取ることから、ドミニコ会やアウグスティノ会などの伝統的な義務に従う宗教団体からの反対を受けることがありました。

その後の展開

1515年には、第5ラテラノ公会議においてモンテ・ディ・ピエタの利子が合理的であると認められ、16世紀以降は多くの機関が預金を受け入れ出し、貧民救済を超えた業務を展開するようになりました。イタリア国内では、ユダヤ人の金貸しと対峙する形でモンテ・ディ・ピエタが広がり、多くの地域で信頼を得るようになりました。

しかし、18世紀末にはナポレオン軍の侵攻によって多くのモンテ・ディ・ピエタが壊滅的な打撃を受け、その後、再建が進められました。19世紀以降の再建された機関の多くは、貯蓄銀行に発展しつつも、その本来の質屋機能を今も維持しています。

各国のモンテ・ディ・ピエタ

モンテ・ディ・ピエタは国によって異なる進展を見せています。メキシコシティにある国立質店（Nacional Monte de Piedad）が有名であり、フランスではアヴィニョンに設立されたモン・ド・ピエテが起源となっています。フランスの法令により1626年には必要都市に設立が認められ、ルイ16世の時代にはその再建が行われました。ベルギーでも1618年以降、モン・ド・ピエテとして発展しています。

日本では、フランスの制度に基づき1927年に公益質屋法が制定されましたが、戦後の時代背景と共に衰退し、2000年には法が廃止されました。このように、モンテ・ディ・ピエタは貧困問題への取り組みの歴史があり、各国での競争や変化がありつつ、今も存在し続けています。

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