モン太君のいち・に・さんすう

1984年、日本のゲームメーカーであるコナミがMSX向けに開発・販売した教育用コンピューターゲームが、『モン太君のいち・に・さんすう』です。本作は、当時コナミが展開していた教育シリーズ「I Love 算数」の第3弾として位置づけられています。算数学習を目的としながらも、単なる計算練習に留まらないゲームとしての面白さも追求されました。この作品は日本国内だけでなく、海外市場にも「Monkey Academy」という名称で輸出され、MSXの他にコレコビジョン用ソフトウェアとしてもリリースされています。

ゲーム内容

プレイヤーはゲーム開始時に、挑戦する算数のレベルを1から5までの5段階から選択します。レベル1は足し算、レベル2は引き算、レベル3は掛け算、レベル4は割り算、そして最高難易度のレベル5では括弧を用いた足し算が出題されます。

ゲームがスタートすると、まず画面上に問題が表示されます。問題の提示方法はプラットフォームによって異なり、MSX版では画面下から風船が飛んできて割れる演出で、コレコビジョン版ではメスの猿がボールを落とすことで問題が出題されます。問題が表示されると同時にカウントダウンが始まり、プレイヤーはこの時間内に答えを考えます。カウントがゼロになるか、操作ボタンを押すと、主人公である猿の子供「モン太」を自由に動かせるようになります。

画面上には、0から9までの数字が隠された複数のブラインドがランダムに配置されています。プレイヤーの目的は、モン太を操作して問題の答えとなる数字が隠されたブラインドを探し当てることです。ブラインドの下でジャンプする動作を行うことで、ブラインドを開き、中の数字を確認できます。正解の数字が書かれたブラインドを見つけたら、特定のボタン（BボタンまたはSELECTキー）を押します。選んだブラインドが正しければ、そのブラインドは画面下へ落ちてモン太が運べる状態になります。この状態になったら、ブラインドを画面右上で待機している親猿の元まで運びます。

もし選んだブラインドが間違っていた場合は、画面に「×」マークが一つ表示されます。この「×」マークが三つ溜まるとミスとなり、プレイヤーの残機が一つ減少します。MSX版においては、ミスをした際に青いカニが現れ、正しい答えを示す風船を運んでくるという演出があります。三回、正解の数字を親猿の元へ運ぶことに成功すると、そのステージはクリアとなります。ステージクリア時には、その時点での残り時間がボーナス得点としてプレイヤーに加算されます。

ゲーム中には、プレイヤーの行く手を阻む敵キャラクターとして、赤いカニの形をしたモンスターが出現します。これらのモンスターにモン太が触れてしまうとミスとなります。モンスターは、画面上に配置されているフルーツを利用して倒すことが可能です。フルーツを使った攻撃方法は二通りあります。一つは、フルーツの下でジャンプしてフルーツを取り、さらにもう一度ジャンプ操作を行うことで、フルーツをモンスターに投げつける方法です。ただし、正解のブラインドを運んでいる間はフルーツを取ることができません。もう一つの方法は、フルーツが置かれている地面の上で三回連続でジャンプすることで、フルーツを頭上に落下させてモンスターを倒すというものです。モンスターはゲーム序盤では決まったルートを動くだけですが、ステージが進むにつれてジャンプを行うなど、より複雑な動きをするようになります。

評価

本作は、発売当時のゲーム雑誌でも取り上げられています。『MSXマガジン』1984年4月号に掲載されたレビュー記事では、複数の評者からの意見が寄せられました。ゲームとしての面白さについては評価する声があった一方で、「教育性という点ではもう少し頑張ってほしかった」といった、教育ソフトとしての側面に関する厳しい意見も見られました。キャラクターデザインについては、「かわいらしい」と肯定的な評価が聞かれました。

また、ゲームの内容に関して、『さるかに合戦』のようなサルとカニが登場し、カニを攻撃するという要素が含まれていることから、日本の有名な昔話との類似性を指摘する意見がありました。さらに、教育用ソフトウェアであるにも関わらず、敵キャラクターであるカニをフルーツを用いて排除するというゲームシステムに対して、その表現やメッセージ性について問題視する声も一部から挙がりました。

『モン太君のいち・に・さんすう』は、算数学習という目的を持ちながらも、問題を解くためのパズル的な要素と、障害物を避けたり敵を倒したりするアクション要素を融合させた、当時の教育ソフトとしては比較的珍しいアプローチを取った作品と言えます。その教育効果やゲームバランスについては賛否両論ありましたが、キャラクターの魅力や独特のゲームシステムは、プレイヤーに記憶される特徴となりました。

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