モーガン (自動車)

モーガン・モーター・カンパニー：英国が誇る伝統と革新のスポーツカーメーカー

モーガン・モーター・カンパニーは、1913年、英国ウスターシャー州マルヴァーンで設立された、少量生産のスポーツカーメーカーです。創業以来、一貫して家族経営を続け、現在も創業一族によって運営されています。2020年時点での従業員数は231名と、比較的小規模ながら、世界中のカー愛好家から高い評価を得ています。

創設から現在まで：揺るがない伝統と進化

創業者のヘンリー・フレデリック・スタンリー・モーガンは、エンジニアとしての経験を活かし、1906年にマルヴァーンでガレージを設立。当初はバス運行や自動車ディーラー業を手掛けながら、自身の三輪自動車「リトルスター」を製作しました。このリトルスターが、現在も続くモーガン車の歴史の始まりです。軽量で堅牢なフレーム、独立懸架フロントサスペンション、優れたパワーウエイトレシオを特徴とし、瞬く間に人気を集めました。

その後、1910年に自動車製造会社を設立し、1912年にはモーガン・モーター・カンパニーを設立。創業当初は、マルヴァーン・カレッジやレプトン・カレッジのエンジニアリング教師であるウイリアム・ジョン・ステファンソン＝ピーチ氏からの多大な支援を受けながら、少数ながら高品質な車両を生産していました。

モーガン社の歴史において重要な節目となったのは、1936年の4/4モデルの登場です。3輪モデルから4輪モデルへの転換は、市場のニーズに応える重要なステップであり、基本的な構造は現在まで受け継がれています。このモデル以降も、フルモデルチェンジを行うことなく、伝統的なデザインと製造方法を堅持。木製フレーム（現在は内装の一部）、ハンドメイドのレザーシートなど、細部にわたる職人技が、モーガンの魅力となっています。

エンジンは、初期の三輪モデルではオートバイ用のエンジンを使用していましたが、4/4モデル以降は英国フォード製の4気筒エンジンを採用。その後も、プラス8モデルではローバー社のV型8気筒エンジン、エアロ8モデルでは自社開発エンジンを搭載するなど、時代の変化に合わせて進化を遂げてきました。

2000年には、64年ぶりの新型モデルとなるエアロ8を発表。アルミ製ボディパネルを採用しながらも、木製フレームという伝統を守り抜き、クラシカルなデザインと現代的な技術を融合させたモデルとして高い評価を受けました。2011年には、黎明期のモデルを現代風にアレンジした3ホイーラーを復活させるなど、伝統と革新の両立を図り続けています。

2021年モデルからは、長年使用されてきたラダーフレームを一新し、オールアルミのボディシャーシを採用。足回りも改良され、現代的な走行性能を実現しています。現在のラインナップは、プラス4、プラス6、3ホイーラーの3種類です。

モーガン車の魅力：ハンドメイドによる伝統と現代技術の融合

モーガン車の最大の特徴は、何と言ってもそのハンドメイドによる製造方法です。エクステリアデザインは時代を超えて受け継がれ、現代の量産車にはない独特の風格を醸し出しています。木材を使用する伝統的なフレーム構造（現在は内装の一部に限定）や、熟練の職人が手作業で仕上げるレザーシートなど、細部に至るまで妥協のないクラフトマンシップが息づいています。

これらの伝統的な要素に加え、モーガンは現代的な技術も積極的に取り入れています。最新のエンジンや足回り、安全技術を採用することで、高い走行性能と快適性を両立しています。

少量生産だからこそ実現できる、職人の技と最新の技術が融合した、唯一無二のスポーツカーがモーガンなのです。

販売と日本での歴史

モーガン車は世界55カ所のディーラーを通じて販売されています。日本には1967年に初上陸し、その後、モーガンオートタカノ、モーガンオートイワセと代理店が変わり、2018年からはVTホールディングスのグループ会社であるエスシーアイ株式会社が正規輸入権を取得し「モーガンカーズ・ジャパン」として販売しています。

納車までには最長1年程度を要し、希少性と伝統を重んじる姿勢が、世界中の愛好家から支持されている所以と言えるでしょう。

モデル一覧

4/4
プラス4
プラス6
プラス8
エアロ8
ロードスター
* 3ホイーラー

モーガン車は、伝統と革新が融合した、特別な存在感を放つスポーツカーです。その希少性と高いクオリティは、多くのカー愛好家を魅了し続けています。

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