モーターサイクル・ダイアリーズ

映画『モーターサイクル・ダイアリーズ』

2004年に公開された『モーターサイクル・ダイアリーズ』は、エルネスト・チェ・ゲバラの若き日の旅を描いた映画です。この作品は、彼が南米を旅した記録であり、彼の成長や社会の現実を映し出しています。ロバート・レッドフォードとヴァルテル・サレスが制作に関わった本作は、ゲバラの旅路を、エベレストのように大きな夢を抱く彼の視点で描いています。

あらすじ

物語は1952年の1月4日、アルゼンチン・ブエノスアイレスから始まります。医大生のエルネスト（愛称フーセル）は喘息を抱えながらも、彼の先輩で生化学者のアルベルト・グラナードと共に、バイク「ポデローサ号」にまたがり、南米大陸を約12,000キロにわたり縦断する旅に出発します。

彼らの旅は様々な出来事に満ちています。途中で恋人に会い、バイク事故に遭い、雪山を越えたり、徒歩やヒッチハイクで移動したり、さらにはイカダに乗ることも。旅を通して、先住民族の人々や労働者、ハンセン病患者といった多様な人々との出会いが待ち受けています。これらの経験は、彼らに南米社会の厳しい現実を突きつけていくことになります。

特に印象的なのは、旅を通じて目にする貧困や不平等の実情です。映画は、個々の出会いを通じて、ゲバラがどのように社会の矛盾を理解し、彼の後の活動へとつながっていくのかを示唆しています。映画のクライマックスには、80歳を超えたグラナード氏が登場し、彼の青春の一瞬を振り返る姿が描かれます。また、彼が撮影に協力したドキュメンタリー『トラベリング・ウィズ・ゲバラ』も存在し、映画の背景を知る手がかりとなります。

受賞歴と音楽

この映画は、音楽でも高く評価されており、ホルヘ・ドレクスレルが制作した主題歌「河を渡って木立の中へ（Al Otro Lado del Río）」は、2004年にアカデミー歌曲賞を受賞しました。これは、スペイン語の楽曲としては初の栄誉であり、映画全体の感動を更に引き立てるものとなっています。

映画はまた、カンヌ国際[[映画祭]]でもパルムドールにノミネートされたことからも、その芸術性の高さが伺えます。

原作と関連項目

本作の原作は『チェ・ゲバラ モーターサイクル南米旅行日記』であり、棚橋加奈江による翻訳が出版されています。映画はこの旅日記に基づいてストーリーが展開されており、彼の人生観や思想が色濃く反映されています。また、映画で使用されたバイクのメーカーであるノートンは、ゲバラが乗っていた「ノートン500」を製造しており、彼が使用したのは1939年製の旧式バイクです。これに関するドキュメンタリーも制作されており、彼の旅の実際を掘り下げる手助けとなっています。

このように『モーターサイクル・ダイアリーズ』は、単なる冒険譚ではなく、個々の出会いを通じて社会を深く見つめる視点を提供する作品として、多くの人々に親しまれています。

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