モータービークル

モータービークルとは

モータービークル（motor vehicle）は、一般的に原動機を搭載し、道路を走行する四輪以上の車両を指します。しかし、定義は一様ではなく、ISOやJISの規格では四輪以上と規定されている一方で、二輪車（オートバイや原動機付自転車）を含むことも少なくありません。この用語は文字通りには「モーターを持つ乗り物」を意味しますが、航空機や船舶、鉄道車両は含まれません。ここで言う「モーター」は、電気モーターに限らず、内燃機関（エンジン）を含む原動機全般を指します。日本語では「エンジン付き車両」と訳すのが分かりやすいかもしれませんが、定まった訳語がなく、JISでは「モータ・ビークル」と表記されています。

モータービークルの種類

具体的には、以下のような車両がモータービークルに含まれます。

自動車 (automobile)
トラック (truck)
バス (bus)

ISOやJISでは四輪以上に限定されますが、実際には二輪車（オートバイ）や原動機付自転車もモータービークルとして扱われることがあります。また、スノーモービルのように車輪がない車両を含むこともあります。ただし、小型の二輪・三輪車（日本の原付に相当）は、排気量や最高速度によって除外される場合があります。

モータービークルの原動機として最も一般的なのは内燃機関（エンジン）ですが、電動モーターも利用可能です。ただし、電動アシスト自転車はモータービークルには含まれません。

モータービークルは、主に道路上で使用されます。レール上を走行する鉄道車両は含まれませんが、道路を走るトロリーバスはモータービークルに分類されます。

通常、モータービークルは人や荷物の輸送に使用されます。ただし、農業作業車や建設作業車など、道路での輸送を主目的としない車両は除外されることがあります。また、私有地内でのみ使用されるか、公道走行が短距離・低速に限られる特殊車両も、モータービークルから除外されることがあります。

関連法規

モータービークルは、交通法規や車両に関する法令によって厳しく規制されています。主な規定は以下の通りです。

運転が許可される人（通常は成人で、該当車両の運転免許証を所持していること）
運転が許可される条件（保険加入、飲酒運転禁止など）
運転が許可される場所
速度制限
通行時の優先順位
指定された装備の使用（シートベルト、ヘルメットなど）
車両の安全基準適合性、ナンバープレートの表示

JISによる規定

JIS（日本産業規格）では、JIS D 0101「自動車の種類に関する用語」において、モータービークルは「4輪又はそれ以上の車輪をもち、人や物品の輸送、車両の牽引、または特殊な作業に使用される路上走行車」と定義されています。また、三輪車の場合、車両の空車質量が400kgを超えるものをモータービークル、400kg以下のものをモーターサイクル（オートバイ）として扱います。この定義はJIS文書内での用語規定であり、法令ではありませんが、自動車業界では一定程度踏襲されています。

JISの定義では、モータービークルは自動車の一部であり、オートバイや原動機付自転車は含まれません。モータービークルには、乗用車、バス、トラック、特殊自動車が含まれ、特殊自動車には、車両運搬車、ごみ収集車、モーターキャラバンなどが含まれます。

関連する国際規格として、ISO 3833「Road vehicles - Types - Terms and definitions」があります。英語では、モータービークルはエンジン付きの車両全般を指し、自動車、オートバイ、原動機付自転車を含むことがあります。一方、JISでは自動車の中にモータービークルが位置づけられています。

日本語訳の難しさ

「モータービークル」という言葉は、日本語での適切な訳語が定まっておらず、文脈によって解釈が異なる場合があります。例えば、在福岡米国領事館のウェブページでは、「自分のモータービークルでアメリカ旅行ができますか？」という質問に対し、「自動車、トレーラー、航空機、バイク、ボート、類似の輸送器機」と訳しています。しかし、同じページで「自分の自動車でアメリカ旅行ができますか？」と言い換えており、「モータービークル」の日本語訳の曖昧さを示しています。このように、「モータービークル」は、日本語では一語で表すのが難しく、文脈によって異なる解釈が必要となる言葉です。

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