安全基準

安全基準とは

安全基準とは、リスクを「許容可能なレベル」まで低減するための規制基準です。この「許容可能なリスク」の解釈は、専門家間でのみ共有される水準なのか、広く一般に共有できる水準なのかによって基準の考え方が異なります。この「許容可能なリスク」については、より詳細な情報を「安全」の項目で参照してください。

安全基準の概要

グローバルスタンダードでは、『危険を完全にゼロにする「絶対安全」は存在しない』という前提に立っています。したがって、安全基準もこの考え方を大前提としています。安全基準には、以下の様なものが存在します。

国際規格：ISO / IEC など
地域規格：EN（欧州統一規格）など
国家規格：JIS（日本産業規格）など
企業や事業者の規則：各企業や事業者が定める規則

これらの安全基準の対象は多岐にわたり、製品の安全性を確保するための基準や、労働者の安全衛生のための労働基準などが含まれます。

また、「安全」と「安心」は全く異なる概念です。安全であるからといって、必ずしも安心であるとは限りません。「安心」は、個人の心や信頼関係に依存する主観的な感覚であるのに対し、「安全」は科学技術に基づいた確率論や統計学によって算出される客観的なものです。したがって、科学技術者は高い倫理観を持ち、安全の確率や統計を算出することが求められます。

安全を確保するためには、安全の理念を共有するための安全文化を醸成することが重要です。

国家における安全基準

国家における安全基準は、「安全標準規格（Safety standards）」と混同されることがあります。「国家の安全基準」すなわち「安全標準規格」に適合しているからといって、必ずしも安全が担保されているとは限りません。

国家における安全基準は、最低限の規制基準として捉えるべきです。事業者は、この基準を満たすのは当然の義務であり、それだけでなく、潜在的な危険源を網羅的に把握し、いかに安全レベルを向上させるかを常に追求する使命があります。安全確保における第一義的な責任は、事業者にあります。技術基準は、「State of the Arts（常に最新の知見に基づいて改善し、高みを目指す）」という理念に基づいて常に進化していくべきです。

安全基準の例

おもちゃの安全基準：「玩具安全基準（ST基準）」

参考資料

ISO/IEC GUIDE 51:2014
日本の安全文化―安心できる安全を目指して (安全学入門)、研成社
技術者倫理とリスクマネジメント -事故はどうして防げなかったのか?、オーム社
安全文化―その本質と実践 (JSQC選書)、日本品質管理学会

関連項目

安全
リスクアセスメント
リスク分析

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