モーリス・ギブ

モーリス・ギブ：ビージーズを支えた才能

モーリス・ギブ（Maurice Gibb, 1949年12月22日 - 2003年1月12日）は、兄弟であるロビン・ギブ、バリー・ギブと共に、世界的な成功を収めたボーカルグループ、ビージーズのメンバーとして知られる、イギリス・マン島出身のミュージシャン、シンガーソングライターです。

生い立ちと家族

モーリス・ギブは、1949年12月22日にマン島で、父ヒュー・ギブと母バーブラの間に生まれました。双子の兄弟であるロビン・ギブよりも35分遅れて誕生しました。5人兄弟の三男であり、姉レズリー、兄バリー、双子の弟ロビン、そして末弟アンディがいます。1950年代には家族と共にイギリスのマンチェスターへ移り住み、その後1958年にはオーストラリアのブリスベンへと移住しました。

結婚と家族

モーリスは1969年にスコットランドのポップスター、ルルと結婚しましたが、1973年に離婚。子供はいませんでした。その後、イボンヌと再婚し、アダムとサマンサという2人の子供をもうけました。

趣味と情熱

モーリスはペイントボールを愛好し、「ロイアル・ラット・レンジャーズ」というチームを所有していました。彼はペイントボールの普及に尽力し、マイアミビーチに専門店を開くほどでした。

突然の死

2003年1月12日、モーリス・ギブはマイアミビーチの病院で、腸閉塞の手術中に急逝しました。彼の死は、兄弟であるバリーとロビンに深い悲しみをもたらし、一時的にビージーズとしての活動を休止することになりました。しかし、その後2人は再びビージーズとして活動を再開し、テレビ番組への出演やアメリカン・アイドルでの演奏などを行いました。

音楽への貢献

モーリス・ギブは、ビージーズにおいてメロディとアレンジを担当し、ハーモニーとバックボーカル、そして様々な楽器を演奏しました。1965年、1966年頃にはリードギターを担当し、1966年初頭にはスタジオでオルガンを演奏していました。1967年から1972年までのビージーズのレコーディングでは、ピアノ、ベースギター、メロトロン、リズムギターなど、彼の多彩な才能が発揮されています。「Words」や「Lonely Days」のピアノ演奏もモーリスによるものです。ステージでは主にベースを担当していましたが、ピアノを演奏する際には、別のベーシストがサポートに入っていました。1975年から1979年までのディスコサウンドの時代には、ベース担当としてグループを支えました。

晩年は主にオルガンを演奏していましたが、時折リードギターも演奏し、2001年の「This Is Where I Came In」では、ジョン・レノンから譲り受けたアコースティックギターを使用しました。1987年のビージーズ再結成後は、レコーディングの技術的な側面を統括し、ミュージシャンやエンジニアとの調整を行うバンドリーダーとしての役割を果たしました。

ソングライターとしては、主にメロディの完成に貢献。彼の楽曲への貢献度を明確にすることは難しいものの、兄弟のソロ活動においてもその役割を継続していたことから、彼らのモーリスへの信頼の厚さが伺えます。モーリスは1つのアルバムにつき1曲程度、メインボーカルを担当しました。グループの中では比較的控えめな存在でしたが、ファンとの交流を大切にし、彼らを楽しませていました。兄弟を落ち着かせ、安定させる役割を担っていたとされています。

ソロ活動とプロデュース

ビージーズから離れていた1970年には、ソロアルバムを録音しましたが、未発表に終わりました。同年には、ウエストエンドミュージカル「Sing a Rude Song」に短期間出演しました。1972年には、ジミー・スティーヴンスのアルバム『Don't Freak Me Out』をプロデュースしました。

1980年代中頃のビージーズ活動休止中には、バリー、ロビンと共に映画「A Breed Apart」のサウンドトラックを録音。1986年には、スウェーデンの歌手キャローラのアルバムをプロデュースしました。これ以外に、彼の名前でリリースされた作品は、2枚のシングル（1970年の「Railroad」、1984年の「Hold Her in Your Hand」）のみです。

モーリスの最後の大きな仕事は、娘サマンサが歌うアルバムのプロデュースでしたが、2005年に「MEG」という名前で発表されました。

受賞と栄誉

1994年に、モーリス・ギブはソングライターの殿堂入りを果たしました。

2002年には、兄弟と共に大英帝国勲章（CBE）を授与されましたが、授賞式はモーリスの死後の2004年に行われました。彼の息子アダムが、亡き父の代理として、バッキンガム宮殿で開催された式典にバリーとロビンと共に出席しました。

2009年10月には、モーリスはダグラスで「Freeman of the Borough」の称号を授与されました。ロビンとバリーも同様の称号を授与され、兄弟揃って出生地でその功績が認められることとなりました。

ディスコグラフィー

アルバム

1970年: The Loner (未リリース)
1981年: Strings and Things (未リリース)
1984年: A Breed Apart (未リリース)

シングル

1970年: Railroad
1984年: Hold Her In Your Hand
2001年: The Bridge (未リリース)

映画音楽

1984年: A Breed Apart、Hold Her In Your Hand、On Time

ミュージカル

1970年: Sing A Rude Song

プロデュース

1970年: Tin Tin『Tin Tin』
1971年: Tin Tin『Astral Taxi』
1979年: Osmonds『Steppin' Out』
1986年: Carola『Runaway』
* 2005年: MEG

モーリス・ギブは、ビージーズの成功を支えた重要なメンバーであり、その音楽的才能と温かい人柄で多くの人々を魅了しました。彼の音楽は、これからも世界中の人々に愛され続けることでしょう。

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