ヤコヴ・ゴトヴァツ

ヤコヴ・ゴトヴァツ（Jakov Gotovac, 1895年10月11日 - 1982年10月16日）は、クロアチアの作曲家、そして指揮者としてその生涯を音楽に捧げました。彼の音楽は、クロアチアの豊かな民謡に深く根ざしており、後期国民楽派の代表的な存在として知られています。

ゴトヴァツはスプリトで生まれ、当初はザグレブで法律を学んでいましたが、1920年に音楽への情熱を抑えきれず、作曲家への道へと転身しました。ウィーンでの留学を経て、彼は音楽家としての基礎を固め、帰国後の1922年にはシベニクでフィルハーモニア協会を設立し、音楽文化の普及に貢献しました。翌年にはザグレブに移り、クロアチア国立劇場でオペラの指揮者として活躍するなど、作曲家・指揮者として精力的に活動しました。

ゴトヴァツの作品は多岐にわたりますが、最も有名なのはオペラ「いたずら者エロ」です。この作品は、彼の代表作として世界中で愛され、5つの大陸で演奏され、9つの言語に翻訳され、ヨーロッパだけでも80を超える劇場で上演されるという目覚ましい成功を収めました。「いたずら者エロ」は、クロアチアの民話を基にしたコミカルな物語と、ゴトヴァツならではの民族色豊かな音楽が魅力であり、観客を魅了し続けています。

オペラ以外にも、ゴトヴァツは「交響的コロ」をはじめとする管弦楽曲、ピアノ曲、歌曲など、数多くの作品を手がけました。これらの作品にも、彼の音楽の特徴である民謡の影響が色濃く表れており、クロアチアの文化と精神を反映した音楽として評価されています。

ゴトヴァツの作風は、民謡を創作の源とした後期国民楽派に分類されます。彼は、クロアチアの伝統的な音楽要素を巧みに取り入れ、独自の音楽語法を確立しました。彼の音楽は、クロアチアの民族音楽の美しさを世界に広め、後世の作曲家たちに大きな影響を与えました。

ヤコヴ・ゴトヴァツは、クロアチア音楽史における重要な人物の一人であり、彼の作品は今日もなお、世界中の音楽ファンに愛され続けています。彼の音楽は、クロアチアの文化遺産として、未来へと受け継がれていくことでしょう。

もう一度検索