ヤマハッカ属

ヤマハッカ属（Isodon）

ヤマハッカ属は、シソ科に分類される植物のグループです。学名は Isodon で、Rabdosia はシノニム（異名）です。和名では漢字で「山薄荷属」と表記されます。

特徴

ヤマハッカ属の植物は、一般的に多年草ですが、低木となる種類も存在します。葉は通常、茎に対になって生える対生ですが、まれに輪生することもあります。葉の縁には鋸歯（ギザギザ）が見られます。

花は、6個内外が輪状に集まって仮輪を形成し、それがまばらな総状花序または円錐花序を構成します。花の時期の萼（がく）は鐘のような形をしており、ほぼ等間隔に5つに裂けています。しかし、果実が成熟するにつれて萼は大きくなり、上唇が3つに浅く裂け、下唇が2つに裂ける唇形へと変化します。

花冠は筒状で、背面が膨らんでいます。上唇は3-4つに裂けて立ち上がり、下唇はボートのような形になって前方に突き出します。雄蕊（おしべ）は4本あり、そのうち2本が長く発達し、下方に傾いてボート状になった花冠の下唇に抱かれるように収まります。果実は分果（ぶんか）で、卵形から楕円形をしており、基部に小型の着点があります。

分布

ヤマハッカ属は、世界におよそ100種が分布しています。その中心は中国大陸から東南アジアにかけての地域で、アフリカにも2種が分布しています。日本には7種が自生しています。また、本属の植物は種間で自然に交雑しやすく、多くの自然雑種が報告されていることも特徴です。

日本に分布する種

セキヤノアキチョウジ Isodon effusus (Maxim.) H.Hara
ヤマハッカ Isodon inflexus (Thunb.) Kudô
ヒキオコシ Isodon japonicus (Burm.f.) H.Hara
アキチョウジ Isodon longitubus (Miq.) Kudô
ミヤマヒキオコシ Isodon shikokianus (Makino) H.Hara var. shikokianus
タカクマヒキオコシ Isodon shikokianus (Makino) H.Hara var. intermedius (Kudô) Murata
サンインヒキオコシ Isodon shikokianus (Makino) H.Hara var. occidentalis Murata
クロバナヒキオコシ Isodon trichocarpus (Maxim.) Kudô
イヌヤマハッカ Isodon umbrosus (Maxim.) H.Hara
タイリンヤマハッカ Isodon umbrosus (Maxim.) H.Hara var. excisinflexus (Nakai) K.Asano
ハクサンカメバヒキオコシ Isodon umbrosus (Maxim.) H.Hara var. hakusanensis (Kudô) K.Asano
コウシンヤマハッカ Isodon umbrosus (Maxim.) H.Hara var. latifolius Okuyama
カメバヒキオコシ Isodon umbrosus (Maxim.) H.Hara var. leucanthus (Murai) K.Asano

自然雑種

コシジヤマハッカ Isodon inflexus × I. umbrosus var. excisinflexus - ヤマハッカ×タイリンヤマハッカ
ヤマアキチョウジ Isodon × arakii Murata - ヤマハッカ×アキチョウジ
セキヤノヒキオコシ Isodon × inamii Murata
クロバナアキチョウジ Isodon × kurobana-akichoji Murata - アキチョウジ×クロバナヒキオコシ
クロバナサンインヒキオコシ Isodon × kurobana-saninhikiokoshi Murata - サンインヒキオコシ×クロバナヒキオコシ
クロバナヤマハッカ Isodon × ohwii Okuyama - ヤマハッカ×クロバナヒキオコシ
カメバヤマハッカ Isodon × suzukii Okuyama - ヤマハッカ×カメバヒキオコシ
タカクマアキチョウジ Isodon × takakuma-akichoji Murata
コシジヒキオコシ Isodon × togashii Okuyama - タイリンヤマハッカ×クロバナヒキオコシ

国外の主な種

マンシュウカメバヒキオコシ Isodon excisus (Maxim.) Kudô
オオヒキオコシ Isodon serra (Maxim.) Kudô

もう一度検索