ヤマハ・ディバージョン

ヤマハ・ディバージョンシリーズ：ロングツーリングから街乗りまで対応する多様なモデル

ヤマハ発動機が製造・販売してきたスポーツツアラーシリーズ「ディバージョン」は、長年にわたって多くのライダーに親しまれてきました。400cc、600cc、900ccと排気量が異なる複数のモデルがラインナップされ、それぞれのモデルが異なる特徴を持つことで、幅広いライダーのニーズに応えてきました。

ディバージョン400：空冷4気筒エンジンの快適性

1991年に登場したディバージョン400（XJ400S）は、シリーズの幕開けを飾るモデルです。空冷DOHC2バルブ直列4気筒エンジンは、35度前傾させたシリンダーとダウンドラフト式キャブレターにより、スムーズな吸気を実現していました。ロングストローク設計によって、最高出力は42ps、最大トルクは3.5kg-mと控えめではありましたが、フラットなトルク特性が日常の走行やスポーツ走行に適していました。

快適性にも配慮されており、フレームマウントのカウル、グラブバー、オプションのセンタースタンドなどが装備され、ロングツーリングでの疲労軽減に貢献しました。しかしながら、そのコンセプトは全てのライダーに受け入れられたわけではなく、大ヒットモデルとはなりませんでした。このモデルで培われた技術は、後にXJR400シリーズへと受け継がれています。

ディバージョン600：欧州市場を主戦場としたモデル

ディバージョン400とほぼ同時に、日本国外への輸出が始まったのがディバージョン600（XJ600S）です。「ディバージョン」という名称は主に欧州で用いられ、北米市場では「セカII」として販売されていました。日本国内での販売は1992年から開始されました。最高出力は61ps（日本仕様は57ps）、最大トルクは5.4kg-m（同、5.3kg-m）と、400ccモデルよりもパワフルな走りを実現していました。

欧州市場向けには、アッパーカウルを外したネイキッドモデル「XJ600N」も存在しました。シンプルで力強いデザインが特徴です。

ディバージョン900：シャフトドライブを採用したモデル

主に欧州市場で販売されたディバージョン900（XJ900S）は、シリーズで唯一シャフトドライブを採用していました。北米市場への展開はありませんでした。

XJ6ディバージョン/N/F：水冷エンジンを搭載した最新モデル

2008年に発表されたXJ6ディバージョンは、シリーズの最新モデルです。従来の空冷エンジンではなく、FZ6をベースに開発された水冷DOHC16バルブ直列4気筒エンジンを搭載。最高出力78ps、最大トルク6.1kg-mを発揮し、中低速域でのトルク特性が向上していました。燃料供給方式もキャブレターからフューエルインジェクションに変更され、より効率的な燃焼とスムーズな走りを提供しました。

また、ABSを装備したモデルもラインナップされており、安全性能も向上していました。XJ6ディバージョンをベースに、アッパーカウルを外したネイキッドモデル「XJ6 N」と、フルカウルを装備した「XJ6 Diversion F」も存在し、それぞれのモデルで異なるライディングスタイルを楽しむことができました。

まとめ

ヤマハ・ディバージョンシリーズは、時代に合わせて進化を続けながら、多くのライダーに愛されてきました。400ccから900ccまでの幅広い排気量、空冷と水冷エンジンの採用、そしてネイキッドモデルからフルカウルモデルまで、様々なバリエーションが用意されている点が特徴です。それぞれのモデルが持つ個性と、ロングツーリングから街乗りまで対応できる高い実用性によって、多くのライダーに支持されてきたと言えるでしょう。

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