ヤマハ・MT-01

ヤマハMT-01：鼓動感と高出力が織りなすネイキッドスポーツ

ヤマハ発動機が、主にヨーロッパ市場に向けて生産していたオートバイ、MT-01。その名は、1999年のモーターショーで発表されたコンセプトモデルに由来します。本モデルは、大型Vツインエンジンならではの力強い鼓動感を味わえる「ソウルビートVツインスポーツ」というコンセプトのもとに開発されました。

パワフルな心臓部：1670cc空冷V型2気筒エンジン

MT-01の心臓部は、XV1700系に搭載される1670ccの空冷V型2気筒エンジンをベースに、徹底的な改良が加えられた点にあります。クルーザーモデルとは異なり、軽快なスポーツ走行を実現するため、セラミックメッキシリンダーや鍛造ピストン、φ40mmのダウンドラフト型インジェクションなど、数々のスポーツバイク用技術が惜しみなく投入されました。吸排気系やクランクシャフトを始めとした、実に90%の部品が新規設計され、ネイキッドバイクとしては異例となる最高出力を誇る、個性的なエンジンに仕上がっています。また、V型2気筒エンジンとしては初採用となるEXUPシステムが、低回転域でのトルクと鼓動感を向上させています。

エンジンと一体化した車体設計

MT-01の開発コンセプトは、単にパワフルなエンジンを搭載するだけでなく、その鼓動感を楽しむことにありました。そのため、車体設計にも多くの工夫が凝らされています。アルミダイキャストフレームは、シリンダーヘッド部とクランクケース部でリジッドマウントされることで、エンジンの振動をダイレクトにライダーに伝える設計となっています。これは、MT-01の個性的な鼓動感をより強調するための、重要な設計思想です。

サスペンションは、フロントにφ43mmの倒立式フォーク、リアには2分割溶接構造の逆トラス形状リヤアームを採用。リアショックアブソーバーはリンクを介して横置きにマウントされています。ホイールは、ハブよりもリム幅が広い特徴的なデザインで、エンジンのドライブスプロケットが右側に配置されていることから、リアホイールは一般的な配置とは異なり、右側にドライブスプロケット、左側にブレーキディスクが配置されています。

発売から生産終了まで

MT-01は2004年、ドイツで開催されたインターモトミュンヘンで正式発表されました。日本市場では同年9月に発表され、2005年には入荷分が完売するほどの人気モデルとなりました。その後も、毎年カラーバリエーションが変更されながら販売が続けられましたが、2009年モデルをもって生産が終了しました。

リコールとモデルチェンジ

販売期間中には、スロットルポジションセンサー、リアサスペンションアームの防錆処理、ミラーの耐候性といった問題が発見され、リコールが行われました。また、2009年にはオーリンズ製ショックアブソーバーを採用した限定モデル「MT-01S」も発売されました。

ヤマハMTシリーズとの関連性

MT-01は、ヤマハが展開するMTシリーズの先駆け的なモデルと言えるでしょう。その後、MT-125、MT-15、MT-03、MT-07、MT-09、MT-10、MT-25など、様々な排気量とエンジンタイプのMTシリーズが展開されています。MT-01の開発で培われた技術やコンセプトは、後のMTシリーズの開発にも大きく貢献したと考えられます。また、MT-01と同系列のエンジンを搭載するクルーザーモデルとして、XV1700ロードスターも存在します。

まとめ

MT-01は、独特のエンジン特性とそれを際立たせる車体設計によって、他に類を見ない個性を持つオートバイでした。その力強い鼓動感と高出力は、多くのライダーを魅了し、ヤマハの歴史に深く刻まれた一台と言えるでしょう。生産終了から年月が経ちましたが、現在でも根強い人気を誇る、伝説的なモデルです。

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