ヤマハ発動機野球部

ヤマハ発動機野球部

ヤマハ発動機野球部は、静岡県磐田市に活動拠点を置く、日本野球連盟加盟の社会人野球クラブチームである。オートバイをはじめとする輸送用機器製造で知られるヤマハ発動機が運営母体となっている。

設立と企業チーム時代の栄光

その歴史は1981年1月に始まる。当時、ヤマハ発動機は会社登録の企業チームとしてこの野球部を設立した。創部からわずか2年目の1982年には、早くも全国の舞台でその存在感を示す。まず、社会人野球の二大大会の一つである都市対抗野球大会に初出場を果たし、見事ベスト8まで勝ち進んだ。さらに同年秋に行われた社会人野球日本選手権大会では、こちらも初出場ながら決勝まで駒を進め、見事優勝という快挙を成し遂げた。この初出場での全国制覇は、チームの歴史における最初の頂点となった。

一時的な休部とクラブチームへの移行

しかし、その輝きは長くは続かなかった。設立から間もない1983年10月、会社再建という経営上の判断から、野球部の休部が発表される。突然の決定により、チームは活動を一時停止せざるを得なくなった。

それでも野球を続けたいという社業に専念していた選手たちが中心となり、1984年にはクラブチームとして再出発を切ることになった。この時、チーム名は「誠和クラブ」と改められた。クラブチームとして再始動した当初は、メンバーはヤマハ発動機や関連会社の社員に限定されていたが、時代の流れとともに門戸を広げ、現在は社外の選手も積極的にチームに迎え入れている。これにより、地域社会との連携を深めながらチーム力の向上を図っている。

「ヤマハ発動機野球部」への名称復帰

長らく「誠和クラブ」として活動を続けてきたが、2005年にはチーム名が再び変更され、設立当初と同じ「ヤマハ発動機野球部」の名称を冠することになった。この名称変更は、クラブチームとしての活動が定着し、再び母体企業の名を冠するにふさわしいチームになったことの表れともいえるだろう。

クラブチームとしての活動と主な成績

クラブチームとして活動する中で、主要な全国大会の一つである全日本クラブ野球選手権大会には、2015年に初めて出場を果たした。惜しくも1回戦で敗退となったが、クラブチームとしての新たな歴史を刻む一歩となった。

チームの主要な大会成績を振り返ると、企業チーム時代の輝きが際立つ。

都市対抗野球大会: 出場1回（ベスト8）
社会人野球日本選手権大会: 出場1回（1982年優勝）
全日本クラブ野球選手権大会: 出場1回
JABA新潟大会: 優勝1回（1983年）

チームに関わる人々

チームからは、プロ野球界に進んだ選手も輩出している。特に阿部慶二選手は、1983年のドラフト会議で広島東洋カープから6位指名を受け、プロの舞台で活躍した。

関連するチーム

ヤマハ発動機に関連するスポーツチームは野球部だけではない。ラグビーのトップチームである静岡ブルーレヴズ（旧ヤマハ発動機ジュビロ）や、サッカーのジュビロ磐田（旧ヤマハ発動機サッカー部）など、それぞれの分野で日本のトップレベルで活躍するチームが存在しており、これらのチームとともに地域スポーツの振興にも貢献している。

現在、ヤマハ発動機野球部は、企業チーム時代に築いた栄光の歴史を受け継ぎつつ、クラブチームとして地域に根差した活動を展開している。野球を通じた社会貢献や、野球選手としての育成・強化を目指し、新たな歴史を刻み続けている。

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