ヤロポルク1世

ヤロポルク1世（945年頃 - 980年）は、キエフ大公スヴャトスラフ1世の長男として生まれ、972年から980年までキエフ大公の座にありました。彼の生涯は、初期ルーシにおける権力争いと兄弟間の確執に彩られています。

968年、ペチェネグ人のルーシ侵攻の際、ヤロポルクは祖母オリガ、弟オレーク、ウラジーミルと共にキエフに籠城し、防衛に当たりました。この経験は、彼の幼少期における重要な出来事の一つであったと考えられます。

972年、父スヴャトスラフ1世がペチェネグ族によって殺害された後、ヤロポルクはキエフ大公の座を継承しました。しかし、彼の治世は長くは続きませんでした。兄弟間の対立が激化し、内戦へと発展したのです。

ヤロポルクは、弟オレークを殺害してしまいます。これがきっかけとなり、もう一人の弟であるウラジーミルとの関係は決定的に悪化しました。ウラジーミルは、 Новгород公として勢力を拡大しており、ヤロポルクの支配に公然と反旗を翻しました。

980年、ヤロポルクとウラジーミルの間で、キエフ大公の座を巡る激しい戦いが繰り広げられました。当初、ヤロポルクは優勢でしたが、最終的にはウラジーミルの軍勢に敗れ、殺害されました。彼の死によって、ウラジーミルがキエフ大公の座を掌握し、キエフ・ルーシは新たな時代を迎えることになります。

ヤロポルク1世の生涯は、映画『VIKING バイキング 誇り高き戦士たち』（2016年、ロシア）でも描かれています。この作品では、俳優アレクサンドル・ウストュゴフがヤロポルクを演じました。映画を通して、彼の人物像や時代背景に触れることができます。

ヤロポルク1世の治世は短く、その生涯は悲劇的なものでしたが、彼の存在は初期ルーシの歴史において重要な意味を持っています。兄弟間の権力闘争、異民族の侵入、そしてキリスト教の受容といった、この時代の複雑な状況を象徴する人物として、ヤロポルク1世は記憶されるべきでしょう。

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