ヤング (お笑いコンビ)

ヤング

ヤングは、日本の漫才コンビである。嶋仲拓巳（ボケ担当）と寺田晃弘（ツッコミ担当）の二人が組む。

二人は大阪星光学院中学校・高等学校の同級生として出会い、高校1年生だった2003年8月に「ぷくぷく隊」というコンビ名で活動を始めた。同年開催された第1回M-1甲子園（現在のハイスクールマンザイ）に出場し、いきなり決勝の舞台へ進出するなど、学生時代からその才能の一端を見せていた。

高校卒業後、二人は揃って大阪市立大学に進学。大学生活を送りながら、よしもとのオーディションライブであるbaseよしもとのオーディションを受ける傍ら、「キタイ花ん」やワッハ上方のレッスンルームで行われるインディーズライブなど、様々な舞台で経験を積んだ。芸歴としては、M-1甲子園に初出場し決勝に進出した2003年を結成の年としており、NSC大阪の26期生と同期と位置付けている。しかし、本格的なプロとしての活動を開始したのは高校を卒業した2006年頃（NSC大阪28期生と同時期）であるため、実質的な先輩にあたる27期生（ミルクボーイやDr.ハインリッヒなど）に対しては敬語で接しているという。

大学在学中の2008年には、プロの漫才師の登竜門であるM-1グランプリにおいて準決勝まで進出。その実力を改めて示した。

2011年1月には、コンビ名を「ぷくぷく隊」から現在の「ヤング」へと改名。さらに、それまで参加していた吉本興業のオーディションライブから離れ、個人事務所「株式会社フールズ」を設立するという大きな転換期を迎えた。寺田が同社の代表取締役を務めている。M-1グランプリの出場者登録上は、この2011年が結成年とされているが、コンビは「ぷくぷく隊」時代から数えて結成15年となるM-1グランプリ2018を最後に、同大会には出場していない。

2015年からは、大阪市中央区にある「ライヴ喫茶 亀」を主な活動拠点とした。吉本興業の芸人が圧倒的な力を持つ大阪のお笑いシーンにおいて、「ライヴ喫茶 亀」は吉本興業以外の事務所に所属する芸人やフリーで活動する芸人たちが集まり、独自のライブシーンを形成する重要な場所となった。インディーズ時代には、現在テレビなどでも活躍するミルクボーイや金属バット、ツートライブ、黒帯、もも、コウテイ、イノシカチョウといった面々も「亀」の舞台に立っていた。

しかし、2019年には立ち退きにより「亀」は一時休業を余儀なくされた。その後、翌2020年3月に大阪市玉造へ移転し、活動を再開している。

個人事務所を設立し、独自の活動を続けてきたヤングだが、2021年12月には黒帯がよしもと漫才劇場で開催するイベント「黒帯会議」に金属バットと共にゲストとして出演。これは10年以上ぶりの吉本の劇場でのライブ出演となった。以降も森ノ宮よしもと漫才劇場での「黒帯会議」や、もも主催の「鶴」、よしもと祇園花月で行われた三浦マイルド主催の「くそいろクリスマス」など、吉本のライブにも出演する機会が増えている。

2023年には、結成20周年という節目を迎え、初の全国ツアーを開催。ツアーの開催地は、なんと桃太郎電鉄をプレイして決定したため、それまで縁の薄かった東北や北海道を中心としたユニークなツアーとなった。

また、2025年5月11日には、フジテレビのドキュメンタリー番組「ザ・ノンフィクション」にて、「ライヴ喫茶 亀」とその周辺で活動する芸人たちに密着した様子が放送されることが決定しており、ヤングの活動が広く知られる機会となりそうだ。

賞レースにおいては、2003年のM-1甲子園決勝進出、2008年のM-1グランプリ準決勝進出に加え、近年では「THE SECOND 〜漫才トーナメント〜」にも挑戦しており、2024年にはノックアウトステージ（32→16）まで駒を進めている。

芸風

ヤングの漫才は、主にしゃべくり漫才が中心である。二人の会話の応酬によって笑いを生み出すスタイルで、コント漫才を行うことは少ない。

親交

ヤングは、大阪のインディーズシーンを中心に活動してきた中で、非常に多くの芸人と深い親交を結んでいる。中でも金属バットとは、baseよしもとのオーディションライブやワッハ上方レッスンルーム時代からライブで共演してきた盟友である。また、金属バットのYouTubeラジオ「金属バットのラジオバンダリー」の公開収録会場として「ライヴ喫茶 亀」が使用されるなど、関係性は深い。

ミルクボーイやツートライブとも古くからの付き合いがあり、2008年から2010年頃にかけて、ワッハ上方レッスンルームで金属バットを加えた4組でユニットライブ「漫才やめなさいライブ」を定期的に開催していた。このライブは、現在行われている「漫才ブーム」というライブの前身となっている。

他にも、大阪星光学院の先輩後輩である山が動く寺岡や、大阪時代から交流があり年に一度「街裏ぴんく・ヤングの競演会」を開催する街裏ぴんくなど、多様な芸人と繋がりを持つ。来阪時に「ライヴ喫茶 亀」でオールナイトライブを頻繁に開催する虹の黄昏とは、寺田が野沢ダイブ禁止の飛行機手配などを行うほどの親密な関係である。ハクション中西とは、ヤングが「天才」と評し、ネタを書いてもらう企画も行った。

立ち退き前の「ライヴ喫茶 亀」に出演していた黒帯やもも、にぼしいわし、オダウエダとも関係が深く、彼らの主催ライブにゲストとして呼ばれることも多い。特ににぼしいわしとは、大阪と東京で「ヤングvsにぼしいわし全面戦争」というツーマンライブを開催するなど、強力なライバル関係でもある。

2024年のTHE SECONDで対戦したマシンガンズとも、これを機に交流が始まり、ヤング主催ライブに出演するなど、新たな繋がりも生まれている。

独自色の強い個人事務所での活動と、多くの芸人を巻き込む「ライヴ喫茶 亀」という拠点の存在を通じて、ヤングは大阪のお笑いシーンにおいて独自の立ち位置を確立しているコンビと言えるだろう。

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